別世界より@
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には国王陛下は本に吸い込まれてました…」
「その本には、その後誰も手を付けて無いのね?」
「はい。吸い込まれたく無いですから…」
ビアンカはティミーの言葉を気にもせず、本のページを捲り始める。
「あ!ちょっと…母さ……陛下!不用意に触っては危険です!」
「触らなきゃ調べられないでしょ!雁首並べて唸ってても、リュカは戻って来ないのよ!」
ペラペラとページを捲り本を調べるビアンカ…
「何これ!?殆ど白紙じゃない!」
「はい。国王陛下もその事に憤慨しておりました」
「で、リュカは勝手にタイトルを書き換えたのね…」
ビアンカはタイトルページに戻るとリュカが書いた『そして現実へ…』の文字を指で撫でる…
そして再度次のページを開き、中途半端に書き綴られた本文を黙読する。
その光景に違和感を感じたティミーはビアンカに近付き本を覗き込む。
「母さん…失礼…王妃陛下。国王陛下はタイトルの続きページには何も書かれて無いと、憤慨してました…ですが、今この本には内容が書かれてます。中途半端ではありますが…」
「良い所に気付いたわね。さっきから見てるけど、少しずつ文字が増えているわ…この本!」
「え!?それって…」
「そうよ。今まさに物語が進行中なのよ。そして進行させているのが…リュカ…」
それは驚愕の事実である!
人間が本に吸い込まれ、その人間が物語を紡ぎ出して行く…
「読んでご覧なさい。登場した人物の描写を…」
ティミーは2ページと書かれていない内容を読みだす。
「確かに…この口調もあの人らしい…」
ティミーには文字を読んでいるにも拘わらず脳内で、あの緊張感の欠落した声が響いていた。
「でも…それなら心配する必要は無いのでは?この物語が完結すれば、戻って来ると思いますが…」
「貴方はこの物語の結末を知ってるの?」
ビアンカの冷たく厳しい口調に、皆緊張する。
「い、いえ…結末は…」
「リュカが物語りの途中…いえ、最後でもいい…死んでしまったらどうするの?此処までを読む限り、魔王討伐という冒険の物語よ!」
ビアンカは恐怖と不安の混じった声で呟く。
思わずティミーはビアンカの顔を見つめてしまった…
青く美しい瞳にはリュカに対する心配と不安で満ち溢れている…
この母にとって、父は全てなのだ…
「では救出しないと!」
オジロンが声を震わせ叫ぶ!
「えぇ、そうね。異世界へ行く方法を探さないと…ティミー、貴方はこれから特使としてラインハットへ行きなさい」
「特使…?ラインハットへ?」
「どうせ国王不在は知れ渡るわ!だから正式に世界中へ通達します。こうしておけばグランバニアへ侵略しようとしている国に対しての、対抗措置を取りやすいでしょ」
「しかし…可能な限り秘匿した方が…」
国務大臣として国政を預
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