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ツインズシーエム/Twins:CM 〜双子の物語〜
ツインレゾナンス
第18話 壊せない今
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いもんね」
「2人には負けるよ」
ミストの言葉に隠された意味の通り、いつでも仲よさそうにしているセレシアとフローラの姿は、時に親戚以上の繋がりをそこに見てしまうこともあるようなものだ。親友と呼んでも足りない気がするような関係を持つそんな2人の目から見ても、エースとミストは仲良く映るらしい。
「で、まぁそんなわけでお互いのこと恨むなんてことはないんだけどな」
「けど、双子であって残念なことがないわけじゃないんだよね」
「それって?」
これまで肯定してきていた2人からの、どっちかというと否定的な言葉。当然反応しないわけがなく、セレシアが半自動的に聞き返す。
「仮にこれから誰かを好きになったとしても、叶わない望みになる可能性が高すぎることだよ。恋愛に障害はつきものだろうけど、僕らにとってはその1つ1つが大きすぎるから」
「だな。こうなったのって、生まれて来た時から決まってる運命みたいなもんだしな。呪ったことがないわけじゃないけど、ここまで来ると嫌でも受け入れるしかない」
2人の口から発されたのは、普段のエースとミストからは聞くことがほとんどなかった、諦めにも似た言葉だった。現実をそのまま表した悲しい雰囲気が、食後の楽しいはずであったダイニングに入り込み始める。
沈黙の数秒後、後味を悪くするそれを振り払うようにエースが口を開いた。
「さて、そろそろ皿とか片づけるか。汚れがとりにくくなるからな」
「作ってもらったことだし、洗い物は僕らで頑張ろうか。2人はご自由にどうぞ」
テーブルの上の食器類をひとまとめにして、キッチンへと持っていくエースとミスト。
その後ろ姿は、やはりとてもよく似ている。当たり前ではあるが、双子であることを証拠づけている。
「ねぇ、フローラ。現実って、厳しいね」
「うん……」
「でも、諦めないでね。一緒に頑張ろ」
「そうだね、セレシア」
それを見続けながら小声でそうやりとりする2人の乙女の姿は、大きすぎる壁を作り出した現実に抗おうとしているようにも見える。
悲しい現実は、確かにそこに存在していた。しかしそれでも、抗おうと頑張る者もそこにいた。
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