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渦巻く滄海 紅き空 【下】
十七 サソリVS三代目風影
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込んだいのの隙を衝いて、チヨに攻撃を仕掛けたサソリは口許に苦笑を湛える。
自分と同じように自らを改造している祖母を前にして、彼は聊か愉快げに唇を歪めた。


「だけど、その腕じゃ、傀儡はもう操れまい…いや、身体自体が動かねぇか」


ハッ、と察したいのがチヨの許へ駆け寄ろうとする。その前に、チヨの肩に突き刺さった何かが、いのの視界を掠めた。

毒が滴るワイヤー。



視界を過ぎったソレに、いのは悔しげに顔を顰める。いのだけでなく、チヨまでサソリの毒の餌食となってしまった。

咄嗟に腕のカラクリである【機光盾封】でワイヤーの軌道をズラしたものの、肩を掠めてしまったチヨもまた、苦々しげに眉を顰める。片腕はまだ使えるが、もう片腕のほうは毒で痺れて動けなくなっている。
【父】【母】を操ると同時に、いののサポートに専念するも、以前よりは上手く操れないだろう。

しかしながら、長年傀儡師として戦場で闘ったチヨは流石に観察眼が鋭かった。
愕然と立ち竦むいのを奮い立たせる意も込めて、小声で囁く。



「今…サソリは『蠍』と施された胸部を中心に、立て直していた。つまり、あの左胸がやつの弱点じゃ」

チヨの推測を耳にして、そこでようやくいのはハッ、と我に返った。再び復活したサソリを前にして、慌てて【心転身の術】で再度三代目風影を乗っ取る。

またもやサソリ目掛けて迫り来る砂鉄で生成された三角柱。
鋭い切っ先を向けられたサソリは、眉間に皺を寄せると、「仕方ない…」とぽつり呟く。




刹那、いのは慌てて、三代目風影から精神を抜き出した。同時に、ぼうんっと軽い白煙が立ち昇る。

サソリが三代目風影の傀儡を巻物に戻したのだ。



「二度も同じ手を食らうかよ」

白煙と共に、砂鉄の武器が大きな地鳴りをあげて、地に墜落した。衝撃で砂煙が巻き上がり、チヨは咄嗟に眼を瞑る。
同時に元の身体に精神が戻ったいのは、秘かに取り出したモノを、煙の中で己の身体に注入した。





「チヨ婆さま!!」

いのと同じく、サソリの毒に侵されたチヨが、どっと膝をつく。
辛うじて動く片腕でチャクラ糸を操りながら、チヨは気丈に「だ…大丈夫じゃ…」と強がってみせた。



「わしのことは気にするな、いの!それより前を見ろ!」
「……ッ、」

チヨの注意で我に返ったいのは、身を捩った。寸前まで自分がいた岩場が、スパンっと綺麗に割られている。
慌ててチヨを支えながら、いのはその場から飛び退いた。サソリの腕の噴射口から、圧縮された水が刃のような切れ味を伴って、いのとチヨ目掛けて放たれる。


「小娘…よくもやってくれたな」

冷酷な表情でサソリはいのを見据えた。
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