十七 サソリVS三代目風影
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(……や…やった…?)
三代目風影の身体を乗っ取っていたいのは、半信半疑で地面に転がるサソリを見下ろした。
【砂鉄結襲】で生成した円柱がサソリに砕かれたのを見て、咄嗟の機転で、すぐさま【砂鉄時雨】へと攻撃を変えたのである。
砂鉄を微小な粒状に固めで、散弾の如く降り注ぐ【砂鉄時雨】。
熱されたところを急激に冷やされて瓦解し、細かく砕かれて小さくなった砂鉄を鋭利な針や弾丸に変じるのは、そう難しい事ではなかった。
頭部に手足、『蠍』と施された胸部、胴体が散らばっている。
かつてはサソリだった傀儡人形の成れの果て。
人形のパースがあちこちに散らばっているのを横目に、いのの精神は三代目風影から抜き出た。
自らの身体に戻ると、途端に毒による激痛や疲労感がどっと押し寄せてくる。
それをぐっと堪えて、いのはチヨに「やりました…!やりましたよ、チヨ婆さま!」と微笑んだ。
「いの…お前…」
信じられないとばかりに、チヨは眼を大きく見開いた。
【父】【母】に加えてチャクラ糸で操っていたいのは終始無言で項垂れていた事にも疑問だったが、サソリの傀儡である三代目風影が反旗を翻したのを目の当たりにして、益々驚きが隠せなかった。
闘う直前に、『考えがある』といのに伝えてもらわなければ、困惑して戦闘に集中できなかっただろう。
乗っ取っていたいのの精神が消え、主であるサソリもバラバラになった今、三代目風影は力なく倒れ伏せた。
サソリの残骸を背後に、いのはチヨのほうへと足を進める。毒で痺れる全身を駆使して、一歩一歩前進する彼女の顔からは勝利の喜びが隠せなかった。
それがぬか喜びだと気づけたのは、チヨが呻き声をあげた瞬間だった。
「く…ッ」
「チヨ婆さま!?」
自らの身体に戻ったいのが、チヨの呻き声に反応して、足を速める。視線の先では、チヨが自らの腕に仕込んだ機構を開き、荒い息を吐いていた。
全身を傀儡化したサソリ同様、腕を傀儡化させているチヨの結界が展開されている。
「傀儡使いという人種同士、考えることも同じだな」
背後で、カタカタカタという音と共に、サソリの声が響いた。
背筋を凍らせたいのが立ち竦む。
確かにバラバラになったはずなのに、とおそるおそる振り返ると、『蠍』と施された胸部を中心に、サソリの身体がみるみるうちに元へ戻ってゆく。
首をぐるんと一回転させて、平然と佇むサソリに、いのの足が無意識に退いた。
勝利したと思い
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