十七 サソリVS三代目風影
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らの肉体は、チヨに上手く操ってもらっているが、足手纏いに他ならない。
だから、いのは身動ぎひとつ満足に動かせない自分の肉体を現時点では捨てた。万が一を考えて、奥の手とする為に。
三代目風影がいのの術によって奪われた事実を知ったサソリが術者であるいのを狙うのも、推定済みだ。
その攻撃はチヨによって防がれている。何故三代目風影が味方になったのか驚きが隠せないものの、いのの身体はチヨが傀儡である【父】と【母】を使って、しっかと守っていた。
相手の身体を乗っ取っている間は、いのの身体は無防備になる。
チヨの助力無しでは行えない術を使って、今のいのにできること…───それは。
(この身体で、サソリを追い詰めること!!)
自分の身体はチヨに任せ、三代目風影の傀儡を乗っ取ったいのは、砂鉄を操り続けた。
巨大な三角柱が回転しながらサソリを押し潰そうと迫り来る。
地面どころか、洞窟の壁を抉る驚異的な攻撃力。地鳴りをあげて、凄まじい砂煙が立ち昇る。
三角柱の攻撃を避けたサソリに、間髪容れず、円柱が頭上から墜落してきた。
かわそうと膝に力を込めたサソリは、ふと違和感を感じる。傀儡化した己の身体の節々が上手く動かせない。
「なに…?」
見下ろせば、地面に散らばった砂鉄がサソリの足元に集結している。
傀儡である自らの身体の関節に入り込んだ砂鉄のせいで、動くのも儘ならない。おまけに、地面の砂鉄が足を地にへばりつけている。その間に、刻々と巨大な影をサソリの頭上に落としてゆく円柱。
「くそッ」
手を頭上に掲げたサソリは、円柱に向かって炎を放つ。傀儡化した両腕の噴射口から発射した炎で、円柱が赤く熱されてゆく。だが落下してゆく勢いは削げられない。
サソリは噴射口から放っていた炎を止め、次いで水を放出した。熱していた円柱が水で急激に冷やされ、凄まじい水蒸気が一気に生まれる。
熱していたところを急に冷やす事で、脆くなった円柱に罅が入った。
そこを狙って、サソリは水の放出量を細くする。細くすればするほど圧縮された水は、まるで刃のように鋭くなり、円柱を切り裂いた。
バラバラに砕かれる円柱。自分を押し潰そうとしていた脅威を粉砕し、サソリは一瞬気を緩める。
それが命取りだった。
刹那、砂鉄の雨がサソリに降り注ぐ。
驚愕の表情を浮かべたサソリの身体を、砂鉄の鋭い散弾が貫いた。
鋭利な針状に変化した砂鉄が地面にカカカッと突き刺さる。
同時に、凄まじい勢いで降って来た砂鉄の針により、サソリの全身がバラバラになる。分断された手足があちこちに転がった。
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