第14話
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どちらも選ばず、マ・クベの周囲を回るだけ。野良犬がマ・クベに未だに……殺されかけたにもかかわらず、未だに価値を見出だしているということに他ならない。
戦闘能力で圧倒的な野良犬が支配しているように見えるこの場だが、人生経験と対人経験ではるかに勝るマ・クベは主導権を握っているのが自分であることを理解していた。
何をされても返り討ちに出来るほど実力差があるが故に、野良犬は待ちの姿勢になっている。マ・クベの出方を窺っている。01を瞬殺してマ・クベを人質に取っているように見えてその実、自分ではここから先に進めることが出来ないのだ。
まさに好機。これを好機と言わずしてなんだというのか。狂犬の首に首輪をつけることができるかもしれないのだ。首輪に手綱を付けることは流石に無理だろうが、鈴をつけるだけでも大分違うのだ。
「野良犬」
マ・クベは自分の声に震えが混じらなかったことに安堵した。100%安全とわかっているが、数字で語れないから狂犬なのだ。恐怖も不安も拭いきれない。そういった負の感情が声から伝われば、纏まる話も纏まらなくなる。
「野良犬、まずは、改めて詫びよう。すまなかった」
「お、おぉ」
「先にも言ったが、奴は私の部下ではなかったようだ。後ろにいるのが誰かはわからないが、二度とこのようなことが起こさせないと誓おう」
「……誓ったところでなぁ……」
野良犬のぼやきは当然だ。口でならなんとでも言える。行動が伴わなくては意味がない……と誰もが思う。野良犬も思うだろう、当たり前のことを当たり前に思うに違いない。だからこそ、次の一手を防げない。
「そこで、提案がある。しばらくは直接会わない方が良いと思う。どこにモグラがいるか分からないし、組織を洗い直さなくてはならないからな」
「んー……」
「とはいえ、私とお前の間に通信に絞ったところで、互いが互いの組織を知らないままでは事故に繋がりかねないだろう。そこでだ」
「うん」
「こちらから人を遣ろうと思うのだ」
「?」
スモウレスラーが首を傾げる。
「つまりだな、そちらに専属の担当者を置いて、そちらのことを学ばせる。軍組織を精査するのには時間がかかるが、一人二人ならすぐにでも送れるだろう」
「ふーん?」
わかったような、わからないような、という雰囲気を隠しもしない野良犬にマ・クベは続ける。
「モグラを掃除しながら互いのことを知っていく。そうすれば協力する準備も滞りなく調うだろう」
「人が来るのは構わないけど……私たちの拠点はコジマ粒子を扱うから危ないよ? 指示に従わないとこうなる」
そうしてスモウレスラーが指差す先には、比較的損傷の軽い遺体が転がっている。警告を無視して死んだ技術者だ。遺体が傷ついているのはコジマ粒子の侵食作用によるもの
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