第一章
[2]次話
青空の下で
縹葵は基本無口で好きな色はとにかく青だ、それで青い色の食べものも好きだが葵自身はこのことで周りをいつも気にしていた。
「おかしくない、ですよね」
「ああ、青いビールが好きとか」
「はい・・・・・・」
親しい常連客、女性の彼女に言うのだった。
「そうですよね」
「ビールはビールでしょ」
これが客の返事だった。
「だからね」
「それで、ですか」
「黒いビールもあれば」
所謂黒ビールである。
「実は黄色でもね」
「その黄色も、ですか」
「ビールによって結構違うから」
それでというのだ。
「だからね」
「それで、ですか」
「そんなね」
「青いビールが好きでも」
「人の好みはそれぞれだし」
このこともあってというのだ。
「だからね」
「いいんですね」
「そうでしょ。何だったら今度ね」
「今度といいますと」
「その青ビールを」
葵が好きなそれをというのだ。
「青空で飲んでみたら?青魚を肴にね」
「お外で、ですか」
「お花見みたいにね」
そうした風にしてというのだ。
「そうしてみたらどうかしら」
「そうですね」
少し考えてからだ、葵は客に答えた。
「今度のお休みの時晴れだったら」
「その時になのね」
「やってみます」
こう友人に答えた。
「そうしてみます」
「それじゃあね」
客は葵のその言葉に笑顔で応えた、そうしてだった。
実際に次の休日晴れであったので近頃冷凍技術がこれまで以上に進歩した結果か流通が以前よりよくなった為か結構普通に出回る様になった青魚の刺身に青ビールも買ってだった、そのうえでだった。
外に出てその組み合わせで食べようとした、だがここで一緒に住んでいる妹に言われた。
「お姉ちゃん何処行くの?」
「お花見じゃないけれど」
葵は家でも無口なので妹にもこう返した。
「ちょっとお外に出て食べて飲もうかって」
「そう思ってるの」
「青ビールに」
それにというのだ。
「青魚で青空の下で」
「楽しもうっていうの」
「そうなの」
こう言うのだった。
「これから」
「ううん、何かね」
「何かねっていうと」
「そう聞いたらね」
それならとだ、妹は姉と正反対に明るいお喋りな感じで言ってきた。ただし外見は姉に結構似ている。
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