第二章
[8]前話
「あんた毎日大変ね」
「髪の毛のことが?」
「ええ、枝毛もない様にしてちゃんと染めて」
根本までだ、黒いところが全くない様にしている。
「大変よね、洗うことも毎日だし」
「そのことね」
「髪の毛も長いのに洗って拭いて乾かして」
その方法もしっかりと考えていてというのだ。
「本当に大変ね」
「何言ってるのよお母さん」
ののこは娘に笑顔で言った。
「これ位何でもないわよ」
「毎日手間暇かけて手入れして染めてるのに」
「だってこの髪型がね」
右は青、左は緑のツインテールがというのだ。
「皆に注目してもらって覚えてもらって」
「凄く目立つから」
「そう、それで諫早市のことも見てもらえるから」
街のことをいつも宣伝しているののこを通じてだ、自分が知ってもらえればそこから街も知ってもらえるというのだ。
「皿踊りや美味しいもものね」
「全部なのね」
「知ってもらえるから。そう思うと」
「その髪型にしてお手入れもなのね」
「何でもないわ」
全く、という返事だった。
「本当にね」
「だからなのね」
「このままね」
まさにというのだ。
「いくわ」
「そうするのね」
「ずっとね、諫早市の為だったら」
それこそという言葉だった。
「これ位は何でもないわよ」
「そうなのね」
「全くね」
こう言ってだ、そのうえでののこはその派手な髪型を続けた。すると本当にそのあまりにも目立つ髪型を見てだ。
皆ののこをすぐに覚えた。
「ああ、あの派手な髪型の」
「右は青で左が緑のツインテールの」
「諫早市の妖精さんだよな」
すぐにこの街のことも頭に入った、ののこの狙い通り。
「諫早って長崎県だったか」
「長崎県って長崎や佐世保だけじゃないんだな」
「諫早もあるんだな」
「諫早ってどんな街だ?」
「興味出て来たな」
こう話してだ、多くの者が諫早市に興味を持ってそのうえで街について調べて観光に来たりした。ののこもその観光の宣伝やおもてなしに働いて。
諫早市にそちらでも貢献した、そうしてこの時も派手な髪型が注目されたが。
「この髪型をまた見たいならまた諫早に来てね」
「よし、そうするか」
「皿踊も面白いし」
「美味しいものも一杯あるし」
「それならな」
「またこの街に来るか」
皆のの子の言葉を受けてそれならとなった、そうして彼等は諫早市のリピーターにもなった、ののこの髪型はそれだけでも街に大きな貢献になっていた。だがら彼女にとって手入れにどれだけ手間暇がかかろうともそれはどうでもよかった。大好きな諫早市にとってこれ以上はないまでの貢献になっているのだから。
二色ヘア 完
2018・10・24
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