第二章
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「それを食べればデス」
「鯖だね」
「栄養の塊です、色々なお料理に出来ますし」
「だからだね」
「鯖を食べてもらって」
この魚を大量にというのだ。
「元気になってもらいましょう」
「いい考えだね、鯖ならね」
この魚ならとだ、お役所の人も確かな声で応えた。
「確かに美味しくて色々な料理の方法があって」
「しかも栄養の塊デス」
「自衛隊の人達も元気が出るね」
「そうデス、ここは鯖デス」
ミカミは今度は力説した。
「あのお魚を舞鶴の自衛隊の人達に送りましょう」
「ではね」
「私からお話するのデス」
ミカミは自ら名乗りを挙げた、そしてだった。
ミカミは福井県の知事や敦賀市の市長といった人に持論を展開した、すると誰もがミカミの言う通りに鯖ならと思ってだった。
それで舞鶴の海上自衛隊の人達に多くの鯖を贈ることにした、様々な料理のレシピも紹介したうえで。
するとだ、自衛官の人達は様々な鯖料理ミカミが敦賀市のお役所の人達に熱く話したその料理を食べて。
鯖の美味しさに気力を、栄養に体力を回復させた。こうして自衛隊の人達は度重なる災害救助の疲れから抜け出ることが出来た。
その自衛隊の人達の感謝の声は福井県の人達だけなくその中にいる提案者であるミカミにも向けられたが。
しかしミカミはこう言うだけだった。
「私は何もしていないのデス」
「そうかな」
「ただ鯖を薦めただけデス」
この時も敦賀市のお役所の人に話した。
「そうなのデス」
「それだけなんだ」
「そうなのデス」
それに過ぎないというのだ。
「それだけなのデス」
「じゃあ自衛隊の人達か感謝するのは」
「贈ることを決めて実際に贈った人達、獲った漁師さん達と」
そしてというのだ。
「鯖にです」
「鯖そのものになんだ」
「そうなのデス、鯖の美味しさと栄養が自衛官さん達を回復させてくれたのデスから」
そうだからだというのだ。
「私よりもデス」
「鯖にだね」
「感謝して欲しいデス」
「成程ね、じゃあ自衛隊の人達には」
「鯖の素晴らしさに感謝して欲しいデス」
こう言って自分への感謝はいい、鯖にと言った。そうしてこの日の夜ミカミは仕事が終わると敦賀の港にある居酒屋に入って新鮮な鯖の刺身とお酒で自衛官の人達を元気にしてくれた鯖に乾杯した、その鯖の味は最高のものだった。酒にも実によく合いミカミ自身にも明日への活力を与えてくれた。
鯖は偉大デス 完
2018・10・24
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