第二章
[8]前話
それならと頷くサボテンを育て続けた、サボテンはあまり水をやらなくても済むし育てることが楽だった。しかも。
確かに見ていると落ち着く、そして落ち込んでいる時に見るとこれまた翠の言う通りに自然と癒された。
それでだ、翠の家に行った時に彼女に話した。
「サボテンと一緒にいると」
「落ち着きますね」
「不思議とね」
「緑の植物ですから」
翠の微笑みはいつも通りだった、優しいものだ。
「だからですよ」
「落ち着かせてくれて癒してくれる」
「自然と」
「そう考えると」
まさにとだ、友人は言った。
「植物、緑は素晴らしいわね」
「本当にそうですよね」
「実は今度ね」
「今度といいますと」
「お部屋のカーテン古くなったから」
それでというのだ。
「新しいカーテンにしようって思ってるけれど」
「ではそのカーテンは」
「色はね」
それはというのだ。
「緑色にして」
「その色にですね」
「あんたみたいにね」
翠は当然として部屋のカーテンも緑色のものにしている、ベッドも緑色のものにしているので本当に緑尽くしだ。
「そうしてみようってね」
「思われてますね」
「どうかしら」
「本当にいいと思います」
翠はこの時も反対しなかった。
「では」
「ええ、緑色のカーテンにして」
「気持ちよく過ごされて下さい」
「サボテンに加えてね」
カーテンもというのだ。
「そうするわね」
「では」
「ええ、後はね」
「後はといいますと」
「翠は服もいつも緑色だけれど」
「はい、これもいいですよ」
「緑色の服だとなのね」
実際に翠は服もいつも緑系統のものだ、今もそうした色である。
「落ち着くのね」
「そして落ち込んだりしてもです」
「癒されるのね」
「そうです」
「じゃあ全部とはいかないけれど」
翠の様にというのだ。
「少しでもね」
「緑色の服をですか」
「着ていく様にするわ」
「それもいいと思います、本当にです」
「緑色は人にいいのね」
「目にも心にも。自然の色ですから」
森や林、そして平原の草木の色だというのだ。
「悪い筈がないです」
「そうよね。じゃあ」
「はい、貴女もですね」
「緑色、増やしていくわ」
生活のその中にとだ、友人は翠に話した。その笑顔で自然と翠のそれと同じく優しい微笑みになっていた。緑の中にいて。
サボテン 完
2018・10・24
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