第一章
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赤ワインとレアステーキ
紅茜はとにかく可愛らしい外見だ、それで店のある常連客が友人達にこんなことを言った。
「あの娘好みだから」
「女の子でも?」
「だからなの?」
「ええ、お友達としてね」
純粋にそう思ってのことだ。
「お付き合いしたいと思ってるけれど」
「じゃあお食事に誘ったら?」
「そうしたら?」
友人達はその客に提案した、長身で中性的な容姿とファッションの彼女に対して。
「仲良くなりたいならね」
「それがいいでしょ」
「それでお話をじっくりして」
「親しくしたらどうかしら」
「わかったわ」
それならとだ、客も頷いた。そうして茜のところに行ってだった。彼女に対して笑顔で誘いをかけた。
「今度お食事でもどうかしら」
「お食事なのですか」
「そうよ」
あどけない顔の茜に微笑んで言った。
「お金はあるから」
「ワリカンでいいですよ」
「そこは気にしないで」
こうした誘いをかけた時は自分で出すものだと考えての言葉だ。
「あるから」
「だからですか」
「そこは気にしないで」
そうしてというのだ。
「二人でね」
「お食事にですか」
「行きましょう、お勧めのお店は何処かしら」
客はここで茜の外見と性格からケーキ屋か何かかと思った、だが茜は彼女に満面の笑顔で言ったのだった。
「美味しいステーキハウス知ってるのです」
「ステーキ!?」
そう言われてだ、意外だと思った。茜の外見と性格のイメージからは少し想像出来なかったからである。
「ステーキなの」
「はい、安くて美味しくて」
それでというのだ。
「とてもおおお店です」
「だからなの」
「お食事に行くなら」
「そのステーキハウスに行って」
「食べましょう、ワインも美味しいです」
「ワインなの」
ステーキにワインは合う、だがこれも茜のイメージではなく内心戸惑いながらそのうえで彼女に応えた。
「そちらもなの」
「美味しいのです」
天真爛漫な笑顔のまま言う茜だった。
「ですから」
「わかったわ、じゃあね」
「はい、そこにですね」
「時間を決めて行きましょう」
客はまさかステーキにワインとは思わなかったので戸惑い続けながら茜に答えた、だがそれでもだった。
茜が紹介してくれたその店に行く日と時間も決めてそのうえで行くことにした。店は外装は一九五〇年代のアメリカの感じで内装もそうだった。
洒落ていてマリリン=モンローやジェームス=ディーンがいてもおかしくない感じだった。音楽はプレスリーだった。
その懐かしい雰囲気の店の中でだ、二人は二人用の席に並んで座ってすぐに茜が客に笑顔で言った。
「安いだけじゃないのです」
「こちらのステーキは」
「はい、ボリュームも
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