酔っ払い、当選する
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・政界動揺、思わぬ焦点浮上か
同盟民主党と社会改革党はこれまでも財政出動の調整で衝突を繰り返しながら与党自由共和党に対抗するため選挙協力を行ってきたが今回はついに破綻をきたしたようだ。この四半世紀以上に渡る、イゼルローン・キャンペーンとセットで行われてきた選挙ではおおむね軍事費削減、社会保障の微増と減税で妥協を重ねてきたが、今回は“国境”と称される星域の防衛体制の整備が問題となったのである。ホアン・ルイ書記長は『こうした地域ではエル・ファシルのような悲劇が繰り返されてきました。そして被害を最も受けてきたのはここでしか暮らせない労働者の方々です。我々はその現実と対峙しなければなりません』と正式に党の公式見解として意見を表明したが、選挙における盟友である同盟民主党筋からは『エル・ファシルの惨状から学ぶべきなのは半端な戦力を疎らに配置しても帝国軍ではなく我々の国庫に痛打を与えるだけだという事だ。補助金で票を買っても後が続かないだろう』と冷ややかな声があがっている。一方、これを歓迎する声も上がっている。自由共和党青年局長のヨブ・トリューニヒト氏は「共和党は国民の生活と自由を守る為なら実務を優先する政党であるべきです。痛ましい専制政治による戦災から復興する為なら政策の為の協力も視野に入れるべきでしょう」とコメントしている。イゼルローン要塞によって生まれた政局体制はイゼルローンよりも早く陥落するかもしれない。
――フリーダム・ミラー紙より
社会改革党の方針転換は同盟議会の政局に大きな波紋を呼ぶことになった。これまで同盟民主党との共通政策であった軍事費削減による社会保障充実を取り下げ、選挙協力の解消を発表したのである。これにより同盟民主党はエル・ファシル選挙区に独自候補の擁立を決定、野党第一党と第二党の対決が決定的となった。また自由共和党は現職追放の禊が済んでいないと主張していたヨブ・トリューニヒト青年局長の言を受け、後継者擁立を断念する事になった。これによりエルファシル選挙区は同盟選挙史上初の野党同士の一騎打ちが行われることになったである。
「エル・ファシルには、軍備充実も社会保障充実も財政再建も全て必要なんです!削って良い所なんかない!ハイネセンの先生方はそこが分かってないんです!財源が有限なのはハイスクール中退である私ですら理解しています!ですが!ここエルファシルでは何もかもが足りていません!帝国軍が持って行ってしまったからです!この状況をハイネセンは本当に理解しているのでしょうか!皆さん!私と共に起ち上がりましょう!今こそ声を上げましょう!」
グレゴリー・カーメネフか主張しているように、エル・ファシルは先の帝国軍の略奪によってあらゆる物資が不足しており、彼の主張は瞬く間に支持を広げた。だが彼の主張は非現実的で夢想主義であると反発する勢力も多数
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