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逆さの砂時計
純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 10
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たのになあ。
 まあ、気持ちは分からなくもないけど。
 なにも、要らん心労を自分から抱え込まなくたって良いだろうに。
 クロスツェルといい、コイツといい。
 聖職者ってヤツには、総じて自虐趣味でもあるのか?

「本当、見渡す限りバカだらけだ」
「褒め言葉と受け取らせていただきますわ」
「前向きなのは良いが、そいつを叶えるには障害が最低でも四つはあるぞ。一つは私の力でどうとでもなるとして、一つはアイツ次第だし、特に重要な残り二つは、あんた達の認識の問題だ。解決策はあんのか?」
「ふふふ……私、アルスエルナ教会の次期大司教・プリシラ。欺き・企み・小細工の類いならば、幼少の頃より呼吸同然に嗜んでおりますのよ!」
「ツッコミ待ちなら、もう乗らないからな。疲れるし」
「そんな……?? 非常に、非常に残念ですわ。毛並みを逆立てる仔猫の如きロザリア様は、大変からかいがい……いえ、愛らしかったですのに……」

 誤魔化す部分が明らかに作為的。
 でも、置かれた(ワナ)には飛びつきません。
 何故なら、疲れるから。

「はいはい、あんがとさん。そんじゃあ、そっちはあんたに任せるわ。後はアイツの考え一つだけど……生憎私は、無理強いするつもりはないんでね。拒否られた場合は、潔く諦めてくれ」
「(誘導尋問洗脳脅迫人質借金幻覚剤)」
「あんた聖職者に向いてないよ絶対」
「にやり」

 ハッ??
 しまった、つい!

「くっ! ぅうー……んあー、もー! 良いよ分かったよ、私の負けだ! 普段どんだけ退屈してんだよ、ったく!」
「お付き合いいただき、感謝の念に堪えません」
「どーいたしましてッ??」
「では、最終的な判断はクロスツェルの意志に委ねるとして……私の願いが叶えられますよう……そして、その日の訪れが、少しでも遠く離れた未来でありますよう心よりお祈り申し上げます。私はこれから突然の高熱で倒れた神父達への差し入れと、祭日の準備に加えて神父達の看病まで任されている子供達への贈り物を届ける為に王都内の孤児院まで出掛けますので、本日はこれにて御前を辞させていただきます。御用がおありでしたら、隣の部屋にお声掛けください。()()()()()必ず控えておりますので」

 ……………………ぅん?

「神父()? 複数の人間が高熱で同時に倒れたのか? 突然?」
「いいえ、先刻受け取った鳥の報せによれば、眠気や倦怠感など、まったく気にならない程度の軽い症状ならば先日から出ていたそうですわ。ですが、まさか孤児院勤務のほぼ全員が一斉に倒れるとは、思いも寄らなかったと。詳細や原因は不明ですが、寒さを増し始めた北風の影響かも知れませんし、院内感染を予防する為に、子供達には厚着をしてもらおうかと思いまして
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