純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 10
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げてた藍色の視線が絨毯の上に落ちて、柔らかそうな前髪の奥へと引っ込んだ。
落胆させちまったか?
と、身を乗り出しかけて
「(なになにもうなんなのここまでだんげんしといてこのむじかくっぷりはかわいすぎるでしょはんそくだわむねきゅんひっしでこきゅうがとまりそうせいしょくしゃやっててよかったわじゅんすいむくなびしょうじょとうといまさしくめがみっっ)」
引いた。
よく分からんけど近寄っちゃいけない気がして。
ベッドの中央辺りまでズザザザザーッと後退りした。
なんだ今の、超高速で息継ぎ皆無な呪詞は。
私への恨み言、とは、違うよな?
「あの、もしもし? プリシラ……さん?」
「発言をお許しください!」
「へ?? あ、ほい! どぞっ??」
「ありがとうございます!」
跳ね上げられた満面の笑顔に宿る、嫌とは言わせてくれない謎の気迫。
怖い。
「まず、気絶していた貴女を強引に起こさせてしまった非礼。そして一時はクロスツェルの上司だったとはいえ、貴女と直接的な関わりを持たぬ私が、辛苦を伴う二人の決意を伺ってしまった非礼。心よりお詫び申し上げます」
「あ、ああ。その辺は謝らんでも良い。自分でも昼間から堂々と寝てるのはどうかと思うし、あんたはアイツの幼馴染だもんな。聖職者じゃなくても、命がどうのこうのと聴かされちゃ、気になるのは当然だろ? 私にあんたを責める理由はないよ」
「……身に余る寛大なお言葉、深く感謝いたします」
片膝立ちの姿勢を保ったまま一礼する、器用なプリシラ。
これ、お嬢様が執る所作とは違うよな。
どっちかっつーと、男? 騎士とかの礼法?
女で聖職者なコイツがやるのは不自然な気がするんだが。
不思議と、見た目に違和感はない。
一挙一動がきっちり決まってるし、この姿勢に慣れてるんだろうか?
「ロザリア様の優しさに甘える形となってしまい、申し訳なく存じますが。私の願いを一つ、聞き届けてはいただけないでしょうか」
「願い? あんたが、私に?」
「はい。ロザリア様のお話を伺い図々しくも欲を芽吹かせてしまいました」
この猪の姉ちゃんが、『欲』、ねぇ?
「……別に良いけど、達成できるかどうかは内容次第だぞ」
聴くだけ聴いてやる、と目で促す私に頷き、唇を開いて……
「 、 、 」
……………………。
「それ、意味を理解した上で言ってる?」
「覚悟の所在をお訊ねであれば、答えはここに」
プリシラの右手が、真っ白な長衣に隠れた自身の豊かな胸、その内にある心臓を、覆うように指し示す。
説得は無意味だ。何があっても覆さないと、力を込めた目線が語る。
あんたは納得するな、つっ
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