レッドサムライ達の女王
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てのソ連と同じくゲリラに悩まされ未だ情勢は安定していないが、それでも彼女はここに居る。
それが何よりも次の戦場を示していた。
ソマリアでも、コソボでも、アフガンでも、日本人傭兵は雇い主に重宝され現地住民に慕われ恐れられていた。
金払いがよく、現地の風習に口出しせず、怒らせると容赦が無い。
何よりも、ベトナムから続く対ゲリラ戦術のプロで、そのゲリラの支援者もろとも吹き飛ばす戦術は非対称戦争でも有効だった。
そんな元北日本軍傭兵の事を誰が呼んだか知らないが『レッドサムライ』と呼び、今や世界の戦場を渡り歩くブランドになってしまった。
彼らはこの非対称戦争における勝利の女神であり、恐怖の代名詞なのだった。
「で、イラク。
私の傭兵家業はここで終わりさね」
彼女は写真を見せると、そこには二人の少女が写っていた。
多分娘なのだろう。
「上は中学で、下は小学。
仕送りしてやっているけど、寂しがらせたからね。
ここで稼いで、後は母にでもなるわよ。
けど、一番の理由はあれ」
そして二人して海を眺める。
そこには、彼女の女王が鎮座していた。
統一戦争後にソマリアに駆り出され、現地武装勢力から神の火として恐れられた戦艦大和。
退役して記念館に改造中だった彼女を引っ張り出したのは、政治だった。
イラクが相手だからいらないとは米軍も分かっている。
だが、米海軍は空母ミッドウェイを沈められた過去を忘れては居なかった。
ミサイルの多重飽和攻撃については、イージスとそれに連動した防衛システムで対処できる。
けど、統一戦争で大損害を受けた反応兵器巡航ミサイルの飽和攻撃について、解決手段をまだ作り出してはいなかった。
再建された米海軍および海外展開部隊を反応兵器で吹っ飛ばされる事は、戦争そのものを失いかねず、それを中東の独裁者は間違いなく理解していた。
だからこそ、象徴として、的として大和が出張ってきた。
それは、インド洋から西太平洋にかけての海上覇権を確立した日本が支払うコストと言ってもいいだろう。
また、作戦面から見ても、バスラを始めとしたイラク南部は英軍と共に自衛隊及び雇われた傭兵達が担当するので、現地民兵を怯えさせる象徴を傭兵たちが欲したのである。
それはこの戦争にかける米軍の意欲とも一致し、湾岸戦争時と同じ兵力がこの地に最終的に集結する予定だった。
「何でもここに来るためにあれ改造をしたんだって?
あの主砲が見れないのは寂しいけど、それで私達を助けてくれるのなら我慢もするわ。
ソマリアでもあの主砲に助けてもらったのよ」
米軍最新鋭駆逐艦ズムウォルト級。
その搭載砲の予定である、AGS155mm砲を大和は搭載していた。
射程118キ
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