レッドサムライ達の女王
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買う人間もいないでしょうからね」
そういう場合、お世辞でも綺麗だと言われたいのだと察する事ができないと戦場では生きられない。
恋も戦場も基本同じ。
察するやつが生き残る。
お世辞に彼女は嬉しそうに笑った。
「傭兵になって最初の戦場がソマリア。
アメさんが匙を投げた所を日本が引き継ぐ形になったけど、あのあたりの海賊が無視できなくなったのと、あそこの漁場を日本の商社が狙ったとかで金払いは良かったわよ。
何しろ、北日本の人間、特に兵士なんて日本に居場所は無かったからね。
海上保険会社と日本商社が金主で三年ばかり居たかな。
ソマリアがおちついたのは、あたしらが殺しまくったおかげよ」
物騒なことを言うが、戦国時代もかくやと思われたソマリアの内戦は、旧北日本軍将兵という国内治安悪化要因を使い捨てる事で達成された。
事実、『アフリカ浪人』なんて言葉ができるぐらいで、最盛期には五万越えた彼らは今や自衛隊のお家芸となった効果的な戦術−−海岸線近くにゲリラとその支援者を集めて艦砲で吹き飛ばす−−を食らって文字通り消し飛んだのである。
「最初砲兵が居なくて苦戦したのよ。
で、なんとか砲の支援をとあちこちに泣きついて、手に入れたのがあの女王様って訳。
おかげで、あそこの悪人どもは決して海岸線の近くに出てこなかったわね。
モガディシュのドンパチも海からの砲撃に『神の怒りの声だ』って大騒ぎ。
今だから思えるけど、あれは楽しかったなぁ」
ついでに言うと、ベトナム時にそれを非難していた野党が中心となり統一戦争を勝利に導いた連立政権は、この一件で崩壊し政権交代に追い込まれたのだがそれは別の話。
今やソマリアはアジア向け漁業と紅海とインド洋の玄関口として、国連・日本・エチオピア主導で国家再建を目指している。
「次はコソボ。
NATOとロシアの下請けとして入ったけど、撃たなかったのは楽だったわね。
むしろ、緊張状態のNATOとロシアの仲介ばかりしていた覚えがあるわ」
米国が統一戦争での損害を回復できない中で発生してしまった、ユーゴ内戦を主導したのは欧州であり、それは地政学的にロシアとの摩擦を容赦なく引き起こした。
元東側で使い捨てができる彼らはここでも便利な駒として投入されたが、その報酬は米国民が死ぬよりも安いと米国が認識するのに十分だった。
「で、この間はアフガン。
カブールに一番乗りしたのよ。
あれはきつかったなぁ……
大砲で吹き飛ばせないってあんなに面倒なのかって思い知ったわよ」
同時多発テロを契機に多国籍軍がアフガンに介入した際に、すでに崩壊していた北部同盟軍に替わって傭兵部隊がアフガン武装勢力と戦っていた。
多国籍軍の航空支援はあったが、かつ
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