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SAO─戦士達の物語
MR編
百五十六話 いつか貴女も
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し気遣わしげな声が通路に響く。

「ごめんアスナ、答え辛い?」
「う、うぅん、答え辛いというか……言葉にするのが恥ずかしいかな……すっごく」
「そっか、アスナは恥ずかしいんだ……」
納得したように、ユウキはつぶやいた。「アスナは」と言う事は、アイリは恥じる様子も無かったのか。少しだけ不思議ではあった、こういう浮いた話を真剣にすることが少し恥ずかしいと感じるのは、特に自分だけではないと思っていたのだが……そうは思ってみても、其れは今それほど重要ではないし、彼女の胸中をはっきりと推察出来るほどアスナはアイリと言う人間を知らなかった。
其れよりも、少し今気になることは……。

「ね、ユウキは恋がしたいの?」
「……分からないよ、分からないけど……アイリとかアスナの事は、凄いし、ちょっと羨ましいなって思った」
「羨ましい、かぁ……」
確かに、自分は彼に恋をしたことで、心底素晴らしいと思う時間を過ごすことが出来た。其れは疑いようのない事実だ。ただそれが果たして人に羨まれるようなものなのかは、アスナにはよくわからなかった。或いはユウキの其れは、「恋に恋する」というやつなのかもしれない。恋がどういうものかわからないまま、けれども初めて身近に知った恋と言う感情に少しばかり憧れを抱いている。そんな少女らしい感情。

「なら、ユウキもいつかできると良いね」
「できるかなあ?ボク」
「それはユウキ次第かな……ただ、どうしたら出来る、ってものじゃないと思うよ。恋は「落ちる」って言うでしょ?だからきっと、気が付いたら自然としてるものなのよ、びっくりするくらいね」
「自然に……」
そう、自分が彼に対してそうであったように……きっとそれは、気付きと共にある日突然やってくる、感情の奔流のような物なのだ。自覚していないとしても、いつの間にか相手に抱いている感情が、恋に変わっている事もある。いや、その流れで行くなら……

「……それか、もしかしたら……もうしてるかもしれないよ?」
「えぇっ?」
「気が付くまでは分からないもの。自然に目で追ってるとか、無意識にその人の事ばっかり考えてる相手とか……そう言う人、居ない?」
「うーん……あ!」
「え、居るの!?」
「うん!アスナだよ!」
「え、えぇ……!?」
にぱっと笑顔で答えるユウキに、思わずつんのめりそうになりながら、彼女は苦笑した。光栄だが、其れは多分恋ではない……ユウキにそっちの気が無ければ、だけど。

「なーんて、冗談冗談。ほんとの事だけど、それはアスナがボクにとって特別だからだもん。其れは多分恋じゃないよね」
「う、うん」
いや、その「特別」という表現も、割と怪しいといえば怪しいのだが……とはいえ、ユウキがそう言うのならユウキの思うそれとはアスナに対する感情は少し違うのだろう。

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