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私自身が藍染惣右介になることだ
これが君の視ている世界だよ
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る藍染惣右介など最初からこの世界(・・・・)の何処にも居はしない」

 藍染は底冷えするような笑みをその形の良い唇に浮かべる。

「ステラさんはお兄様に憧憬の念を抱いていました……。お兄様に憧れてお兄様に歩み寄り、お兄様と肩を並べたいと、それこそ必死の思いで努力してやっとの思いでお兄様と気持ちが通じ合ってきたんです……」

 理解していた。
 敬愛するお兄様にあの女、ステラが好意に近しい感情を向けていたことを

 憧れから来る好意だったのかもしれない。
 だが、それでも何の打算も無くお兄様に好意を向けてくれる彼女のことは非常に不服ながらもミジンコレベルで認めていた。

「知っているさ。誰かに憧れを抱く人間ほど御しやすいものは無い。だから私が彼女を一輝君と引き合わせたんだ」

「な……」


この男は、それすらも知って……


()い機会だ。一つ憶えておくといい、珠雫君。










憧れは理解から最も遠い感情だよ」

 珠雫が激怒し藍染に特攻しようとした刹那、数多の銃弾が火を噴いた。
 
 狙いは藍染を含めた人質
 怒りで我を忘れ、藍染に憎悪の念を抱いていた珠雫は反応することも出来なかった。



「困った子だ……」

 迫り来る銃弾の嵐に藍染が動じることはない。
 否、動じる必要もなかった。

 藍染は緩慢な動きで右手を宙に掲げる。


素手で……ッ!?


 驚くことに藍染は素手で自身に迫り来る無数の弾丸を掴み取っていた。
 信じられない光景だ。

 視認することも不可能な程の高速移動を駆使し、放たれた銃弾の全てを無力化している。

「やはり、身に余る野心を抱えた者程やっかいだよ」


 そして、一閃


 視認することも困難な神速にて繰り出された一閃により全ての銃火器が両断される。
 途端、藍染の姿が消失した。

 周囲に血しぶきが飛び散り、テロリスト集団達は為す術無く地に倒れ伏す。
 深々と肩を斬られた者、銃火器ごと両腕を両断された者、腹を割かれた者と様々だ。
 ビショウは肩から脇腹にかけ大きく斬り割かれる。
 



「……確信だ。君達『解放軍』の存在を初めて知った時、全くもって使えないと確信した。だから君達とこの場で出会った瞬間に君達を潰すことを決断した」

 痛みに呻くビショウを見下ろし、藍染は死刑の宣告にも等しい言葉を叩き付ける。

「どうやら私の勘は正しかったらしい」

「……最後だ。大人しく固有霊装(デバイス)を手放し、此方に降伏したまえ」

「断る……ッ!」

「何だって……?」

 聞き間違いであろうか。
 ビショウは何と言葉にしたのだろうか。

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