第二章
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彼女は変わった、かなり落ち着いた性格になった。
その彼女にだ、隠者は彼の家の中でこう言った。
「もうかなりな」
「自制心ついたの」
「大丈夫だと思う、前と比べれば」
それこそというのだ。
「別人だ」
「それじゃあ」
「人を見てもだ」
「悪戯をしようって思わないのね」
「昔より遥かにな。むしろ」
「むしろっていうと」
「今の御前は助けたいと思う筈だ」
悪戯をするよりはというのだ。
「ここで修行だけでなく本も読んだな」
「ええ。貴方の本を」
「そこにある思いやりや優しさについてどう思った」
「こうした心が欲しい」
アセビは隠者に率直な答えた。
「そうね」
「思ったわ」
「今以上にね」
「御前は元々優しい」
その根はとだ、隠者が見てもそうなのだ。
「だからな」
「もっと優しさを欲しいと思って」
「優しくなるとな」
今以上にというのだ。
「悪戯心をだ」
「減ったそれを」
「抑えてくれる、困っている人を見れば」
森の中でだ。
「助けたいと思えば」
「それでなの」
「御前は嫌われなくなる」
こうアセビに話した。
「そうなる筈だ」
「それじゃあ」
「そうだ、これからはな」
「自分を抑えられるし」
「御前の優しい心を前に出してな」
そのうえでというのだ。
「森に来る人間達に接することだ」
「わかったわ」
確かな声でだ、アセビは隠者の言葉に頷いた、そうしてだった。
アセビは実際に森に入って道に迷っている人がいれば正しい道を教えたり獣が近くにいると避ける方法を教えてだった。
彼等を助けていった、そうしてだった。
何時しか森の人気者人間達から見てもそうなっていた。それでこう言った。
「変われば変わるものね」
「悪戯者で嫌われていたのに」
「それがよね」
友人達も彼女に応えて話した。
「今じゃね」
「あの人達からも人気で」
「感謝もされて」
「随分変わったわね」
「本当に」
「その変り方が」
まさにというのだ。
「私自身驚いてるわ」
「そうよね」
「けれど実際のことだしね」
「今のアセビが人気があるのは」
「森に入る人達からそうなのはね」
「あれね。悪戯をしないで」
それでというのだ。
「親切にしたら」
「アセビの悪いところを抑えていいところを出した」
「それで人気者になったわね」
「そうね。じゃあこれからは」
アセビ自身も言った。
「悪戯はしないで」
「もっと親切にしていく」
「そうしていくのね」
「これからも」
「そうしていくわ。その方が気持ちがいいから」
好かれてというのだ、それでだった。
アセビはもう悪戯はしなくなった、その代わりに親切にしていった森の人気者であり続けた。今の彼女を
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