アインクラッド編
ボス戦終結
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場は混沌を極め,ボスの咆吼とプレイヤーたちの悲鳴が部屋にこだました。
ボスのベータテストとは異なる武器の使用。
レイドパーティーのリーダー、ディアベルの死。
この二つの出来事は,これまで上手くいきすぎていたプレイヤー全員をパニック状態に陥らせた。
このような状況下で場の統率を行うはずだったディアベルはもういない。
情報が何もない武器の攻撃に翻弄されて、次々とイエローゾーンに陥るプレイヤーが増えていく。取り巻きも新しくポップしている。
予想外の事態に誰も対処できない。
アスカは場の喧噪とは打って変わり、冷静に思考を巡らす。
離脱しようと思えばできる。
取り巻きの相手をしていたアスカはボス部屋の一番後方にいるので、扉まで約30メートル。離脱の障害となるボスも取り巻きも他のプレイヤーがタゲを取っている。邪魔が入らない状態ならアスカの敏捷値なら5秒もかからない距離だ。
他人のことなんて関係ない。自分のことだけ考える。他のプレイヤーがどれだけ死のうと知ったことではない。
それならば、前線でパニック状態になっているプレイヤーが蹂躙されている今の内に逃げるべきだ。
最悪、レイドパーティーが全滅されようが、自分1人で何食わぬ顔で〈トールバーナ〉へと戻り、明日からまた1人で迷宮区のモンスターを狩り続ければいい。
それが今までの1ヶ月間の自分の姿。変わらない姿。
このボス戦も元はといえば,迷宮区の最奥にて偶然であったキリトに誘われて,参加しただけだ。何も他のプレイヤーのために攻略に貢献しようなどと思っていたわけではない。
それに,誰もみそっかすの2人パーティーに救援ができるなどとは思っていないはずだ。
ここで逃げることが普通。合理的。正しい判断。
しかし、アスカの体は振り向くことを許さなかった。ただ視線の先にボスのみを見据える。
アスカとて恐怖がないわけではない。自分より防御力の高い金属装備をつけてたディアベルさえも2回の攻撃で葬り去るほどの威力。アスカなら間違いなくソードスキル2発で全損だ。
それでもアスカは前に出る。振り返らない。
ここまでやって来たのは何のためだ?
自分という存在が腐っていくことを恐れて、自分という存在を確固たるものに保つため。
この世界に負けず、立ち向かうためだ。
ならば、ここで逃げるわけにはいかない。
たとえ死ぬことになっても、逃げることは断じて許されない。
このゲーム、この世界には負けられない。
不意に横に人が並ぶ気配。パーティーメンバーの少女、キリト。
キバオウに檄を飛ばしていたキリトも逃げる気はないようで、決意を固めた表情をしている。
一瞬、キリトがアスカの方を向く。フードの下に隠れているキリトの目とアスカの目が交錯し,キリトが
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