第二章
[8]前話
「これからも」
「じゃあまたね」
「また中に来てね」
「僕達のこの中にね」
イソギンチャク達は自分達の中から出た水羽に優しい声をかけて送った、水羽はまた海の中で泳ぎはじめた。
そうしてだ、今度は珊瑚と珊瑚の間を泳ぎながら今も一緒にいるクマノミに対してにこりと笑って話した。
「この前イソギンチャクさん達の中に入ったけれど」
「どうだったかな」
「クマノミさんの言う通りだったわ」
まさにというのだ。
「本当にね」
「温かかったね」
「そして気持ちよかったわ」
「そうだね、だからね」
「クマノミさん達も」
「安心出来るんだ」
「そうよね、けれどね」
ここでこうも言った水羽だった。
「どうしてクマノミさん達だけなのかしら」
「イソギンチャクさん達がその中に入れてくれるか」
「他のお魚は駄目なのに」
「それは友達だからだよ」
「だからなの」
「そう、僕達がね」
「イソギンチャクさん達のお友達だから」
「それでなんだ」
それ故にというのだ。
「イソギンチャクさん達は中に入れてくれてね」
「守ってくれるの」
「そうなんだ」
「そうだったの」
「そして水羽ちゃんだよ」
他ならぬ彼女もというのだ。
「水羽ちゃんは水の妖精で海や川にいる皆のお友達だね」
「だからなのね」
「イソギンチャクさん達も受け入れてくれるんだ」
「そうなのね」
「そうだよ、それで今日は何をするのかな」
「このまま泳いでそうして」
水羽はクマノミの問いに笑顔で答えた。
「後は水面に出て浮かびながら海月さん達みたいにお昼寝するわ」
「そうなんだ、じゃあ」
「今は一緒に泳ぎましょう」
水羽はクマノミに笑顔で言った、そうして今は彼と一緒に楽しく泳いだ。水羽の泳ぎはまるで空を飛ぶ様に軽やかだった。
イソギンチャクの中で 完
2018・10・17
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