第一章
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イソギンチャクの中で
海空水羽は水の妖精でその身体は全て水で出来ている、そしていつも水の中にいて泳いだり遊んだりして暮らしている。
この日水羽は珊瑚礁にいた、そこでだった。
彼女はイソギンチャクの中を出入りするクマノニに言われた。
「いや、イソギンチャクさんがいてくれるから」
「だからなのね」
「うん、僕達は安全なんだ」
「いざっていう時はよね」
「イソギンチャクさんの中に入れば」
それでというのだ。
「難を逃れられるから」
「それでよね」
「僕達は安心して暮らせるんだ」
「そうなね」
「うん、ただね」
「ただ?」
「一つ思うことは」
それはというとだ、水羽はクマノニに尋ねた。海の中で一緒に泳ぎながら。
「貴方達は大丈夫なの?」
「大丈夫っていうと?」
「だからイソギンチャクさんの中にいても」
「僕達は食べられないから」
「そうなの」
「イソギンチャクさん達にね」
他のお魚と違ってというのだ。
「それで刺胞にもね」
「刺されないのね」
「むしろ中にいたら」
イソギンチャクのその中にだ。
「凄く気持ちいいんだよ、温かくてね」
「温かいの」
「そう、イソギンチャクさんの中はね」
「そうだったなんて」
「水羽ちゃんは中に入ったことがないんだ」
「ないわ、というか中に入ろうと思ったことすらね」
「ないんだ」
「一度もね。けれど気持ちいいなら」
それならとだ、水羽はクマノミに考える顔になって述べた。
「私もね」
「入ってみるんだ」
「そうしてみようかしら」
「じゃあそうしたらいいよ」
クマノミは水羽毛にすぐに答えた。
「水羽ちゃんがそうしたいと思ったらね」
「それじゃあね」
水羽も頷いてだ、そうしてだった。
実際にイソギンチャクのところに行った、そのうえで彼等に言った。
「ねえ、イソギンチャクさんの中に入っていい?」
「クマノミさんみたいにだね」
「そうしていいかっていうんだね」
「これから」
「ええ、いいかしら」
こう聞くのだった。
「私もそうして」
「いいよ」
イソギンチャクはゆらゆらと海の中で動きつつ水羽に答えた。
「水羽ちゃんならね」
「悪いことしないからね」
「海の妖精ならね」
「何も悪いことしないし」
「それじゃあ」
水羽はイソギンチャク達の言葉に頷いてだ、そうしてだった。
イソギンチャク達の方に進みその中に入った、するとクマノミ達の言った通りにだ。
とても温かった、イソギンチャク達の守ってあげようという温もりを感じた。それでその温もりの中で彼等に言った。
「クマノミさんの言う通りよ」
「温かいんだね」
「僕達の中はそうだっていうんだね」
「温かいって」
「そ
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