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特殊陸戦部隊長の平凡な日々
第15話:新体制の幕開けー3
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ゲオルグはそう言って机の上のビルの図面に目を向けた。
それにつられるようにシンクレアも図面を覗き込む。
他の面々はその場に居ながらも一歩引いて2人が話し始めるのを待っていた。

「入れるのは・・・ここか」

ゲオルグはそう言って地図の一点を指さした。
そこはビルの地下2階にある機械室で、水道管から侵入することができた。

「ですね。 しかもここからならエレベータシャフトにアクセスしやすい」

シンクレアは機械室からエレベータシャフトへのルートをなぞりながら言う。

「で、エレベータシャフトを上がって・・・ここですね。1階天井裏のダクトです」

「1階すべてを偵察しようとすると・・・・・こんな感じだな」

シンクレアが指さした地点から、ゲオルグは店舗エリアをぐるっと囲むように
天井裏を這うダクトをなぞっていった。

「上のフロアはどうします? 全部は難しいですよね」

シンクレアが問いかけると、ゲオルグは難しい顔で腕組みをして唸り声をあげた。
誰も言葉を発せず、無言のまま時間が流れていく。

「あの、その点について考えがあるのですが・・・」

控えめに手を挙げたティアナが発した言葉に反応して、全員の目線が彼女に集中する。
ゲオルグは無言のまま軽く手を上げてティアナに発言を促した。
ティアナは小さく頷いて口を開いた。

「最上階の偵察を優先してはどうでしょうか。
 今回の犯行の目的が現金の強奪であれば、上層階への侵入は不必要です。
 意味があるとすれば、経営トップに対する脅迫です」

「人質としての利用を考えてのことでは?」

「人質の目的は逃走経路の確保以外には考えにくい状況です。
 であれば、店舗エリアの行員だけでも多すぎるくらいです」

ティアナがウェゲナーの問いに答えると、再び沈黙がその場を支配した。
しばらくして、ゲオルグは胸の前で組んでいた両腕をほどくと、全員の顔を見回した。

「限られた時間で偵察を完了する必要がある状況を鑑みて、ランスター執務官の案を採る」

ゲオルグの言葉にクリスティアンをはじめとする301部隊のメンバーと
警防署の捜査官が頷くと、シンクレアがゲオルグに声をかけた。

「サポートはどうします?」

「不要だ」

ゲオルグは短く答えると、身をひるがえして歩き出した。
シンクレアはゲオルグがぶっきらぼうに言い放った言葉に苦笑すると、
偵察への侵入点に定めた水道管へつながるマンホールに向けて歩く
ゲオルグの背中を追いかけた。

両手に腰を当てて蓋のあいたマンホールを覗き込んでいるゲオルグの背後に
ゆっくりとした足取りで近づく。

「いいんですか、本当にサポートなしで」

シンクレアが声をかけると、ゲオルグは
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