純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 9
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
vol.11 【れぞにゃん、ききいっぱつ!】
「さっきの伝言とこれを、二人に直接渡してきて頂戴。それから、百合根の下拵えや分配や片付け、その他諸々をお手伝いすること。できるわよね? レゾにゃん」
空になった食器を下げてくれた後。
プリシラが四角く折り畳んだ紙を、無言で頷くレゾネクトに手渡した。
どうやら、レゾネクトが猪の兄ちゃんと母さんが居る教会へお遣いに行く事は、私が目を覚ます前から決まってたらしい。母さんに会うならばと、プリシラの前で安易に幼児化してしまった結果、目覚ましの挨拶代わりとなる着せ替え祭りが発生した、と。
普通に使われてるレゾにゃんとかいうふざけた呼び方も、幼児化を見た瞬間に決定したんだとさ。
なんだかなぁ……。
「百合根の下処理方法なら、クロスツェルに教わるまでもなく覚えている。昔、アリアに手伝わされていたからな」
「まぁ。アリア様のお食事はレゾにゃんが作っていたの?」
「正確には、これは食べられるか、どうやったら食べられるか、味付けはどうしたら良いかと、事ある毎に相談を受けていたんだ。その都度世界中を跳び回って似たような食材を扱う文化を探し出し、まだ知られていなかった地に調理方法を伝授したり、直感で処理してみたりを繰り返していた。そうしないと、アリアが全身傷だらけになって女神の威厳を保てなかったから」
「……怪我? 全身を? 調理で??」
プリシラの両目蓋が忙しなく開閉する。
ごもっともな疑問だ。調理中に「全身を」負傷する器用な人間なんぞ、そうそういないだろう。
「アリアの奴、細かい作業は全然ダメだったからなぁ」
我が事ながら、思い返すだけでも痛々しい。
「細かい作業とは、例えばどのような?」
「刃物を取り落として足にぶっ刺したり、根菜類の皮を剥こうとして指や腕を切断しそうになったり、熾した直後の火で髪先を燃やしたり、熱湯に食材を入れようとして手の甲を突っ込んだり、小皿に乗せた料理を座るまでの間に躓いて頭から被ったり、ついでに顔から突っ伏した所為で鼻血を流したり、川で食器を洗ってる最中にうっかり自分が流されたり、あとは……」
「あ、もう結構です。後半は細かい作業とかけ離れている気もしますが、言わんとする所は十分に伝わりましたわ」
「遮ってくれてありがとう。ちょっと落ち込みそうだったんで、助かったよ。ははは」
何処に居ても気を抜いた瞬間に殺されるような情勢下で育ったからか、さすがに毎度毎度やらかすほどの間抜けではなかったし、基本的にはしっかり者の部類に入るほうだと思うけど、たまぁーにやらかした時の被害は度を越してたもんな。アリアが操る力は、殆ど自分の体を使って磨き上げた物だと言っても良い。
クロスツェルの教会に
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ