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続・ユリアンのイゼルローン日記
第一章 初体験
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かりがいい目を見るんだ!」

「まあ仕方ないだろ。
今回はあくまで地上戦がメインだからな。
空戦隊に出番はないさ」

昼食を摂るために訪れた食堂では我が艦隊の誇る二大撃墜王〈エース〉の姿があった。
ポプラン少佐はどうやらシェーンコップ准将の持ち帰った"戦果"が相当お気に召さなかったようだ。
フォークを握ったまま、拳をテーブルに叩き付けながら熱弁をふるい続ける少佐。
時折相槌を打ちながら淡々と食事を続けているコーネフ少佐との対比はあまりにも鮮やかすぎた。
性格、と言うより性質が違うとしか見えないこの二人は本当にどうして仲良くなったのだろう?
以前訊ねた時には何とも言えないジョークでかわされてしまったけど。

「おお!ユリアン!
良いところへ来たな!
お前も此方に来て座れよ。
一緒に不良中年がのさばるこの現状への改善策を考えようぜ。
大人への反抗は若者の特権だからな」

「ユリアン君はお前と違って反抗と八つ当たりの区別くらい着けれるさ。
ああ、まず先に食事を取ってきなよ。
とっくに一生分の権利を使い果たした人間の台詞なんて無視していいから」

僕は憮然と黙り込んでしまったポプラン少佐の顔をなるべく見ないようにして食事を取りにカウンターへ向かった。
笑いを堪(こら)えた顔を少佐に見せないのが大人の礼儀だと思ったから。







七九七年 四月三十日   




今日はシェーンコップ准将にお会いする機会があったのだけれど、その際に聞かされた話の事をずっと考えていた。
一日中ずっと。

つい二日ほど前、つまりシャンプール陥落の当日、ハイネセンから脱出者が到着したそうだ。
シャトルでやってきたバグダッシュ中佐というその軍人は今は眠っているそうだ。
准将によると二週間ばかりグッスリと。

以前の日記でも書いたような気がするが、例え個人の私的な日記(私的でない日記というのも珍しい。ただA.D.〈西暦〉を使用していた時代にはネットワークを通じて個人の日記を世界に向けて公開するという事が流行した事もあったそうだ。
特に有名人でもない一般の人達も自分の文章をさらけ出していたとか。
その時代の人達は皆そんなに自分に自信があったのだろうか?
僕にはとても真似出来そうにない)であったとしても書いてはいけない場合もある。
今日の場合は個人のプライバシー、と言うより名誉か、に関わってくる。
故にここでは何故中佐が二週間も眠っているのかという事に関して詳しくは書かない。
いずれこのクーデターが終結した際には書けるのかも知れないが。

ただ今日は一日ヤン提督のお背中を見つめていた。
僕が側にいられる間はずっと。









七九七年 五月一日    


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