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続・ユリアンのイゼルローン日記
第一章 初体験
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だから正直オペレーターの方の報告が提督に届けられるまで何をしているのか全く分からなかった。
何しろ遠距離過ぎて爆発光さえ見えなかったのだから。
更に今日シェーンコップ准将が陸戦隊を率いて降陸されてからは宇宙空間にいる艦隊は警戒と通信が主となる。
ヤン提督もいつものようにデスクの上ではなく(そう提督は何故か戦闘指揮をされる際はデスクの上に座り込むのだそうだ。その理由は未だ聞いた事はないのだけれど)司令官席に座ったままで報告を聞いておられた。
いくら直接宇宙空間での戦闘が行われている訳ではないとはいえ、戦闘中は戦闘中だ。
提督並びに司令部の皆さんにも緊張の色が窺えていた。
ここで漸く話は本日の本題である(僕の日記にそんなものがあるとすればだが)戦闘的艦船に於ける居住性の問題に到達する。

当たり前と言えば当たり前なのだが、軍艦というものは二十四時間休まず運営されている。中で務めている軍人の皆が交替で休みながら常に誰かは起きて艦の操縦なり、情報のチェックをしているわけだ。
そして昨日からのような戦闘状態に入れば(例え敵の姿がすぐ近くに居ないと予想される今回のような状態でも)自室でゆっくり休む事など出来はしない。タンクベッドで短時間の休息を取るしか無くなるのだ。

が、にも関わらず僕がこんな風に昨日、今日と日記なんて呑気に書いていられるのは当然ながらヤン提督並びに司令部の皆さんのご厚意によるものだ。

それはシャンプールへの砲撃が一段落し、シェーンコップ准将らが惑星表面へと降り立とうとしていた頃だった。
司令官席に座ったままのヤン提督にグリーンヒル大尉が何か耳打ちをされた。
そしてそのすぐ後に僕は提督に呼ばれ、部屋に戻って休むように言われたのだ。
要するに子供はゆっくり寝ていろ、夜更かしは許さんと、まあそういう事だ。
こんな時にも関わらず気を遣ってくれたグリーンヒル大尉にもお礼を言った後、僕は艦橋を後にした。

基本的に僕は艦内にいる限り、提督と行動を共にしている。
夜(?)休む際にも、提督が艦橋を離れる時に同行し、司令官室内に用意されている従卒用の部屋で眠っている。
住環境云々と言ったのはそういう点でも僕が恵まれているという事。
例えば僕が徴兵されたばかりの一兵士であったなら。
ヒューべリオンのような最新の戦艦ではなく、老朽化した駆逐艦であったなら。
ヤン艦隊のような優しい人達ばかりに囲まれていなかったら。

そういう事も考えてしまうんだ。
この広い艦内でたった一人、日記に向き合う事しか出来ないちっぽけな僕は。









七九七年 四月二十八日
 


シェーンコップ准将が無事戻って来られた。かなりの"戦果"と共に。
艦橋で出迎えたヤン提督もかなり呆れていた様子だったけど
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