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続・ユリアンのイゼルローン日記
第一章 初体験
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々に身体を休めるようにと指示を受けた身なのだ。
眠れなくともせめて目を閉じて身体を横にしておくべきだろう。
そうとなれば早速実行しなくては。
続きはまた明日にするとしよう。
(結局日記を書く事は止めないんだな、僕は)





七九七年 四月二十七日


唐突だが軍艦とは戦う為に存在している船である。
巡航艦、駆逐艦、揚陸艦、空母、工作艦、更に今僕が乗っている戦艦といったように様々な種類の船が存在する訳だけど、その全てに共通しているのは戦闘行為を目的として建造されているという事だ。
何が言いたいのかというと(しかし僕は個人的な日記だというのに何故こんな言い回しを用いているのだろう?確かに所謂歴史上の偉人と呼ばれる人達が遺した日記を読んでみると後世 誰かに読まれる事を想定していたとしか思えないものがあるのだけど)基本的に長期間寝起きするには全く向いていないという点だ。
それもまあ当然で、まさか住環境を改善する為に装甲を薄くするわけにもいかない。
このヒューべリオンなどまがりなりにも艦隊旗艦として使用される船だけにまだ"マシ"な方だそうだ。
ヤン提督を筆頭に艦隊司令部の皆さんーつまり階級の高い方達ーが乗り込むだけに他の戦艦などに比べて幾分余裕を持って造られているらしい。
らしいと言うのは当たり前だが僕は他の軍艦なんて乗った事もないからだ。
いや、考えてみればそもそも軍艦以外の船で宇宙に出た事はないのだ、僕は。
僕の希望通り正式に軍人になれば更に民間の商船や旅客船に乗る機会は失われていくだろう。それこそ帝国との戦いに決着をつけて平和な時代が訪れない限り・・・

最近は話が脱線する事にも馴れてきた。
本当に一体何を書いているのだろう、僕は。
昨日書こうと思った事にもまだ触れてもいないというのに。
取り敢えず忘れない内にさっさと済ませてしまおう。
戦闘が自分の想像とは違っていたという点について。
簡潔に纏めれば僕は宇宙空間で行われる戦闘というのは華々しい大艦隊戦だと思い込んで
いたんだ。それこそアムリッツァ会戦のような。
昨日から今日に掛けてーそして未だ続いているー行われている戦闘は当然ながらそんな派手なものではない。
恥ずかしい話だが二日前の艦橋会議でも既に説明はされていたのだ。
今回の戦闘は惑星への"降陸"作戦だと。

艦橋でいつも以上に背筋を伸ばし全身に力を入れていた僕の目に入ってきたのはヤン艦隊から放たれるビームやミサイルの束。
"敵軍"の姿は一隻たりとも目にする事はなかった。
惑星シャンプールには提督の予想通り航宙戦力は存在していなかったようで、大気圏内に対空レーダーや防空火器群が配備されていただけだったらしい。
僕も比較的視力は良い方なのだが、流石にそこまで見通す事は出来なかった。

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