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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
番外編その1 鉄砲水と絆の英雄
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げ出しもせず、それどころか表情すら変えていないのは誉めてやろう。クール&クレバー、そんな単語が脳裏をよぎった。

「遊星も、もしかして知り合いなのか?でも、遊星は未来から来たんだろ?」
「ええ。なので、知り合いというわけではないですが……すみません十代さん、それに遊戯さん。これは、俺たちの問題です」
「話が早くて助かるよ。えっと、遊星っていうんだって?僕としちゃ特に直接恨みがあるわけじゃないんだけど、ね。お互い難儀なことだよねえ」

 肩をすくめ、ウィンクしつつなるべく空気を重くしないように話しかける。そう、いくら不倶戴天の敵とはいえ、僕自身が彼に恨みがあるわけではない。ただこの命を地縛神に拾われた身としては、シグナーと出会ってしまった以上ここで見て見ぬふりというわけにもいかない。これが最低限のけじめだからだ。

「どうする、場所変える?」
「いや、ここでいいだろう。赤き龍よ、もう少し俺に時間をくれ!なぜダークシグナーがこの時代にいるかはわからないが、それが俺の使命ならばここで決着をつけよう」

 上を仰ぐように叫んだ遊星の声に応えるかのように、けたたましい咆哮とともに上空に長い影が差す。あの龍に、実体はあるのだろうか。その名のごとく赤い光で構築された全身に白い光の筋が走る、さながら肉体というよりもむしろエネルギー体と形容する方がしっくりくるような姿を見ながらそんなことを思う。

『ふん。久しいな、赤き龍よ。色々と諸事情によりこちらは私とこのマスター1人だが、そちらもシグナーが1人しか用意できていないのなら差しさわりあるまい』

 一体どんな思いでチャクチャルさんがそう口にしたのか、その歴史と重みは僕には計り知れない。でも恨みや憎しみといった感情を超越した、万感の思いがこもっていることだけは伝わってきた。

「おい清明、それに遊星も」

 まだ何か言いかけた十代の肩を、事の成り行きを静観していた遊戯さんがポンと叩いて止める。

「十代。俺達には理解できないが、彼と遊星の間には何か、戦わなくてはならない理由があるのだろう。ならば、デュエリストに言葉は必要ないはずだ」
「遊戯さん……わかった、だけど後で俺にも説明しろよ!」

 声援だか何だかわからない言葉を背中で受け止めて、改めて遊星と相対する。油断なくこちらを見つめるその目は確かに強者のそれだ……でも、まだ青い。おそらくこの男は、まだ自分の中の真の力を解放しきれていない。そして、それに自分では気づいていない。惜しい、と思う。もっとも、相手する立場としてはその方がやりやすいのは確かだ。

「一応自己紹介しておこうか?僕はダークシグナー、遊野清明。それじゃあ、デュエルと洒落込もうか!」
「俺は、不動遊星。全力で行かせてもらう!」

 望むところだ。さて、僕
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