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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
番外編その1 鉄砲水と絆の英雄
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でもなく重要な役割を果たす代物に対してやってのけようとしているとは。今回の敵はヤバい、と、だいぶ遅ればせながら脳内で警鍾が鳴り響いたところで、ようやくなじみのある景色が見え始める。過去で何かが起きつつある地、童実野町に到着したのだ。

「でも、そんなの僕にどうしろってのさ?いくら駆け付けたくても、できることなんてないじゃない」

 大前提として、僕は時間軸を自由に移動できない。いくらダークシグナーに人知を超えた力があるからといっても、それは完全無欠の全知全能とは決してイコールで繋がらない。それは、その力の源たるチャクチャルさん本人が一番よくわかっているはずだ。だが意外にも邪神の口から飛び出た言葉は、その同意でも諦観でもなかった。

『そうとは限らないぞ。あれを見ろ、マスター』

 そんなアバウトな指示のもと示されたものは、確かにあれ、としか形容しようのないものだった。空間にぽっかりと浮かんだ歪み……いや、穴だろうか。前にも何度か、あれとよく似たものを見たことがある。例えばアカデミアの研究施設で、ユベルの手により砂漠の異世界に飛ばされた時。例えば僕のモンスター、多次元壊獣ラディアンを特殊召喚した時。ダークネスとの死闘の際に次元の壁を越えて覇王の異世界からグラファが救援に来てくれた時も、あれとよく似たものが発生していた。だけど、わかる。この穴を作ったエネルギーは、それらとは比べ物にならないほど大きい。

『……おそらくこれは、余波のようなものだろうな。過去、あるいは未来で、歴史を揺るがすほどの何かが起きている。そのエネルギーがでたらめに暴れたのか、予想を超えて溢れ出したのか。結果、この簡易的なタイムホールとしてこの時代に発生したのだろう』
「えーっと、つまり?え、なに、ここに入れってこと?」
『少なくとも、こんな大それたことをして暴れている馬鹿のところにはたどり着けるだろうな』
「そんな他人事みたいな……帰ってこれなかったらどうするのさ」
『マスター』

 時間の移動は、チャクチャルさんでさえ専門外。ということはつまり、何かとんでもないことにならない保証なんて一切ないというわけだ。さすがに当然の反応として尻込みする僕に、チャクチャルさんが頭を下げる気配がした。

『頼む』

 たった3文字の、シンプルな言葉。だけどそこに込められた万感の思いは、痛いほどに伝わってきた。まったく、もう。そんな真剣に頼まれたら、断り切れるわけないじゃないの。タイムホールの向こう側で何が起きても反応できるよう、デュエルディスクを腕輪から展開する。

『……すまん』
「ったくもう、いいよいいよ。それにしても、こーいうのっていつもと逆だよね」
『?』
「いやほら、いつもは僕が無茶言ってフォロー頼んでたじゃん?いつもお世話になってる分、こうや
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