番外編その1 鉄砲水と絆の英雄
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いかなる場合のリリースも行うことが許されない」
「……くっ」
炸裂装甲が発動に成功し、墓地に送られた。だけど、遊星の墓地のカードは29枚。あと1枚、足りない。そしてそれを用意する前に、このデュエルは終わる。悔しそうにうつむいた遊星が、再び顔を上げて僕の目をまっすぐに見る。その覚悟に心の中で敬意を表し、そっと最後の指令を下した。
「チャクチャルさん。遊星にダイレクトアタック……ミッドナイト・フラッド」
地縛神 Chacu Challhua 攻2900→遊星(直接攻撃)
遊星 LP1600→0
「……ふぅ」
そっと息をつく。気を張り詰めっぱなしで脳もずっとフル回転、疲れる戦いだった。でも、最高に楽しい時間だった。デュエルが終わったことを見届けて、十代と遊戯さんが再び僕らのところに近寄ってくる。だけど僕にはそれとは反対側、最後の一撃のショックかその場に座り込んで自分の手を見つめて呆然とつぶやく遊星の姿が気になった。
「俺は……まだ生きている、のか?」
「あったりまえでしょ、そんな物騒な。ほれ、立てる?」
「あ、ああ」
近寄って手を伸ばしてやると、素直にそれを掴んで立ち上がる遊星。その時のキョトンとした表情とさっきまでの真剣な顔のギャップに、思わず小さく笑ってしまう。
「ごめんごめん、つい、ね。まあ真面目な話としてお前さんと僕じゃシグナーとダークシグナーでも生きてる時代がそもそも違うし、そもそも僕は現世に恨み残してこうなったクチじゃないからね。礼儀、というかひとつのけじめとして喧嘩は売らせてもらったけど、それが終わればそんなのはもう関係ないさ」
「なんだかよくわからないけど、お前たち仲直りできたのか?」
なんだか不思議なものを見るような顔で僕と、それから十代をかわるがわる見る遊星。ややあって、立ち上がる時に掴ませたままの僕の手をぐっと握り返した。
「このデュエルを通じて、ダークシグナーにもあなたのような人がいることを学べました。清明さん、俺と手合わせしてくださり、ありがとうございました」
「いやいや、こっちこそ楽しいデュエルだったよ」
固く握手する僕らを見て満足そうに大きく頷く十代と、そっと微笑む遊戯さん。赤き龍がどうかは知らないが、少なくともチャクチャルさんの方はシグナー相手に勝利したからか、それとも久々のフィニッシャーになれたからか満足そうだしめでたしめでたし、ということでいいだろう。
……いや、まだ1つ、聞きたいことがあったんだ。
「ところでさ、少し聞きたいんだけど」
「ええ、なんですか?」
「皆、いったい何があってこの時代に集まってたの?」
それを聞いてなぜか3人が顔を見合わせ、何とも言い難い複雑な表情を一斉に浮かべる。首をひねる僕の
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