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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
番外編その1 鉄砲水と絆の英雄
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ばこの僕、遊野清明と遊城十代……そしてデュエルキング武藤遊戯と、未来からの訪問者不動遊星。この4人だけが、あの日起きたことを知っている。
 ただその内容をはたして目の前の男にはなんと言おうかと考えながら、同時に頭の片隅ではあの日のことを思い出していた。





 あの日起きたことに最初に気づいたのは、僕ではなくチャクチャルさんだった。僕にとってそれはいつもと変わらない朝、いつもと変わらない1日の始まりに過ぎなかった。

「おう、新聞持ってくんのにいつまでかかってんだ穀潰し!」
「るっさい親父!」

 罵声に背中を押されるように家を出て、今日の新聞を手に取る。何気なく目に入ったその一面記事には、でかでかと廃墟、それもまだ火事の火すら消え切っていないものが映っていた。

『また人間が派手にやったのか。いつの時代もご苦労なこと……いや待て。マスター、今すぐそれを開け!』
「へ?こ、こう?」

 背中越しにそれを覗き込まれるような感覚。チャクチャルさんが時事問題に関心を持つのは割といつものことだが、この日は少しばかりわけが違っていた。慌てて言われたとおりに折りたたまれた新聞を広げると、その写真の下半分があらわになった。それを目にしたチャクチャルさんは満足して引っ込むどころか、ますます気配を強め新聞をひったくらんばかりの剣幕で睨みつける。

『まさか……いや、これは……』

 完全に自分の世界に入り込んでしまったチャクチャルさんからは何を聞いても答えなんて得られそうにないので、仕方なく僕もその記事に目を通す。えーっと、この写真は昨日発生した犯人不明、凶器不明の大規模破壊活動?幸い死者は皆無、しかし歴史的建造物が砕かれ怪我人多数……ふんふん。
 だがそこまで読んだところで、チャクチャルさんがじっと見ていたのはその部分ではないことに気づいた。その横に添えられた小さな、解像度も荒い雑な写真だ。なになに、事件の様子を偶然とらえたらしい写真、ねえ。何やら3つ、白く巨大なものが映っているのがわかる。そのうち1つは機械的な光沢を放ち、1つは細長い体のラインに沿うように7色の光を放ち、もう1つは……なんだこれ。ほかの2つにかぶってるせいで、ただでさえ何の写真かさっぱりなのに、余計にわかりづらくなっている。それでもチャクチャルさんには、その部分だけで十分だったらしい。絞り出すような声を、僕は確かに聞いた。

『スターダスト・ドラゴン……なぜ貴様が「此処」にいる……!』

 それから先はまさにとんとん拍子、というのは少し、言葉の使い方がおかしいだろうか。親父に新聞を叩きつけて自分の部屋に入ると、チャクチャルさんの言われるがままに荷作りをする。いくらせっついても説明ひとつしてくれないので訳も分からないままにパスポートと数日分の着替えとい
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