番外編その1 鉄砲水と絆の英雄
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「冥界、ねえ……」
そういえばあそこの社長がこの前テレビで、わが海場コーポレーションが次に目指す目標として次世代型デュエルディスクに搭載予定の新機能は、質量を持つソリッドビジョン……その名をパワービジョンと呼ぶ!世界中のデュエリストたちよ、その時を震えて待つがよい!ワーハッハハハ!とかなんとか演説してたっけか、と思い出す。精霊の世界でならカードは実体化する、つまりはそういうことだろうか?
……ま、いずれにせよ僕みたいな一市民にはあんまし関係のない話だ。そういう難しい話は、思う存分専門家に頭を捻ってもらうとしよう。
と、ここで三沢の表情がふっと真面目なものになった。誰かが聞き耳を立てていないかと周りを見回してから、声を潜めて語り掛ける。
「それでな、清明。お前に会ったらずっと聞いてみたかったことがあるんだが」
「……どったの、そんなシリアスしちゃって」
そんな軽口とは裏腹に、僕も真面目に聞こうと体制を整える。三沢が真面目になるということは、それなり以上に重要な話だからだ。
「3年前、だったか。ちょうど俺は向こうの世界にいたからあまり詳しくは知らないが、確かペガサス氏主催でデュエルモンスターズのイベントが行われたことがあったな?それ自体は別にいつものことだが、あの時俺はちょうど次元を超えてエネルギーを観測する実験をしていてな。何気なくこの世界に的を絞ってみたら、明らかにおかしな反応が見つかったんだ」
「……と、いうと?」
一度話を切った三沢に先を促すと、もう1度誰かがこの話を聞いていないか確かめて、再び口を開く。
「あのエネルギーは明らかに異常だ。5年前のダークネスとの戦いで俺が打ち立てた時間移動と性質やエネルギーの動き方はよく似ていたが、次元移動特有の空間のひずみまでこの世界には発生していた。しかもそのエネルギーは、その量もすさまじく膨大だった。自然発生ではありえない、俺たちの今の常識を上回る何らかの人為的な力が必要となるほどにな」
「それを僕に話して、どうしようってのさ」
「ただ聞きたいだけだ。お前はその時のことを何か知らないかとな。言い忘れたがこの話の何よりも奇妙な点は、そのエネルギーの流れが唐突に消えたんだ。まるで最初から何もなかったかのように世界は元に戻り、ツバインシュタイン博士に連絡を取ってみても向こうでは何も観測されていないという。実際その日、何かおかしなことが起きたという話も聞かないしな」
「……機械の故障とかじゃないの?」
「それは俺も真っ先に考えた。だが、何度点検してもおかしなところは見つからなかったんだ」
「うーん……」
首をひねるふりをしながらも、頭の中では足りない脳みそをフル回転させる。三沢の言う、2年前のあの日。この世界に何が起きたのか、僕は知っている。正確に言え
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