番外編その1 鉄砲水と絆の英雄
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「ハーイ皆!卒業生代表、遊野清明でーす!えー、本日はお忙しい中このデュエルアカデミア同窓会にお集まりいただいて……いいやもう、以下略!かんぱーい!」
「「「乾杯!」」」
最初ぐらいはちゃんと挨拶らしいことでも言おうかと思ったが、途中で我慢できなくなって手にしたグラスを高々と掲げる。でも、どうやらその場にいた皆も同じ気分だったらしい。我ながら雑な開会の言葉にも一切の文句はつかず、そこかしこで一斉にグラスが打ち鳴らされた。おおむね良好な雰囲気の中始まったことを壇上からざっと確認し、飲みほしたグラスを置き両手を自由にしてから僕自身もそそくさと親友たちのところへ向かう。
しかしその道中、横から首に手を回された。ヘッドロック状態のままぐりぐりとこちらを締め付けてくる張本人、直接会うのは5年ぶりな万丈目が絡んでくる。とはいえこの男に関してはプロデュエリストという関係上メディア露出も多いし、正直こちらとしては久々に会った新鮮味というものがない。それはそれとしてこのやろ、さてはもう酔ってんな?
「お前なあ……司会と料理は僕がやるからお金出して!とか言われたからわざわざ万丈目グループとして招待状から会場まで全部手配してやったんだぞ?その結果があの挨拶か?」
「……てへ」
「てへじゃない!大体この忙しいプロデュエリストの予定まで同窓会で開けさせておいてだな……」
「明日香も呼ぶよって言ったら即OK出したくせに……わーったわーった、僕が悪かったってば。そういやさ、話変わるけどそっちはどうなの?3兄弟とか元気にしてる?」
『オイラ達なら毎日元気よん、お久しぶりね清明のダンナ〜』
『『イエーイ!』』
「こら、まだ俺の話は……」
勝手に出てきた3兄弟の精霊によってわずかに拘束が緩んだ隙にヘッドロックから脱出し、これ以上絡まれる前にひらひらと手を振ってその場を後にする。そこへタイミングよく横から手渡された次のグラスを受け取り、また中身をくっと飲む。
「センキュー三沢、ちょうどまた喉乾いてたんだ」
「あれだけ大声で騒いでいたんだ、そうだろうと思ってな。それにしても、お前に会うのも久しぶりだな」
これまた5年ぶりに会う三沢は、学生のころよりもさらに大人びていた。それでもその瞳に宿る芯の強さは、あのころからまるで変わっていない。
「三沢こそよくここに来れたね?向こうでタニヤといたらさすがに打つ手なかったから半分諦めてたんだけど」
「別に、年中向こうの世界にいるわけじゃないさ。科学技術だって俺たちが学生だったころとはわけが違う、だいぶ行き来も安定するようになってきたしな。それにここだけの話、最近は次元転移の技術に海場コーポレーションが内密に援助してくれるようになったんだ。いずれは冥界に行く技術を確立させる、とかなんとか言ってな」
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