暁 〜小説投稿サイト〜
ツインズシーエム/Twins:CM 〜双子の物語〜
ツインレゾナンス
第3話 出迎える4人目
[2/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
わけにもいかない。男性陣の気遣いとフローラの気遣いがかみ合わないままで、時間が過ぎていこうとしていた。


「あ、みんなおかえりー」

 そんな3人の元に現れたのは、ポニーテールを揺らしながら校舎の方から走ってきた1人の少女。今は暗いためその姿までははっきりと見えないが、その身に3人と同じこの学校の制服を纏っているのは確かだ。そしてその聞き覚えのある声ならば、暗闇とは言えど人物の特定はそう難しいことではない。

 彼女こそが、いつもはエースたちのグループにいる4人目、セレシア・プラントリナである。炎属性の使い手で魔法攻撃に長けているのだが、使う場所によっては魔法によって大災害を招きかねないということで剣術も学んでいる、非常に気配り上手な女子生徒である。

「ただいま、セレシア」

「おかえり、フローラ。ケガない? 大丈夫?」

「もう、おおげさだよー。私回復魔法使えるから、傷はなんとかなるよ」

「それはそうだけど、やっぱり心配になる。もし可愛い顔に傷つけて帰ったら、あたしがつけたやつ吹っ飛ばしに行くんだからね」

 帰ってくるなりフローラの無事を確認するほどに、セレシアはフローラのことを好いている。特別な感情ではなく一友人として心配しているのだろうが、それにしても過剰だな、と端から見て思ってしまう。それは、もう慣れたからこそ、フローラの中で冗談交じりだと流せるやりとりなのかもしれない。

 フローラもそれを嫌がることなくいつものように笑って返すところを見るあたり、2人の関係が良好である、ということは分かる。クラスは違えど、学園内で一緒にいるところをよく見かける。エースもミストも、この2人のどちらかだけを見かけたらその数秒後には2人揃っている、という経験は何度かあった。

「2人とも、あたしのいないときにフローラの可愛い顔に傷つけさせるようなことがあったら締め上げるんだからね」

「オーライ。分かった」

「肝に銘じておくよ」

 今度は自分たちに向けられた、過保護にも思えるセレシアの少々過激な発言を、エースとミストは笑って返した。今回に限っては一部本気ではあるのだろうが、冗談の部分はちゃんと冗談だと分かるような関係性は、エースやミストとの間にもある。セレシアも、分け隔てなく彼らに接する数少ない生徒の1人だからだ。

 それは、エースとミストにとってはありがたいことだった。双子だと判明した後に、程度の違いはあれど周囲からの視線に変化が見られてから、それ以前のように依頼をこなすグループに誘ってくれる人は少なくなった。

 だが、2人の態度はその前後で変わることはなかった。それが何故なのかはエースもミストも聞いたことはないが、その理由が分からなくとも、今の関係があれば十分なのだ。

「ところで……
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ