暁 〜小説投稿サイト〜
人類種の天敵が一年戦争に介入しました
第12話
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理由は――

「昨日見たな」

 野良犬にとって初見ではなかったということだろう。樽の周囲に緑色に輝く球状の幕が生まれる。
 プライマルアーマー。
 コジマ粒子と呼ばれる重金属粒子を機体周辺に還流させるバリアで、殆どの攻撃は弾かれるか反らされてしまう。野良犬が昨日の大戦で死地を脱することができたのもプライマルアーマーによるところが大きい。その時はプライマルアーマーで一瞬の時間を稼ぎ、瞬発力にものをいわせて脱出したが、今日の野良犬の選択は違った。展開されたプライマルアーマーが明滅、収縮したかと思うと爆発的に膨張し、周囲一帯を薙ぎ払った。
 アサルトアーマー。ジェネレーターに負荷をかけてコジマ粒子を過剰供給し、プライマルアーマーを圧縮、コジマ粒子の爆発という形で解放する。主に自機の周囲を攻撃するために使うが、通常のプライマルアーマーでは防げない攻撃すら無効化できるため、緊急回避に使われることもある。ジェネレーターに負荷をかけた過剰供給の反動で、使用後は一定時間プライマルアーマーが展開できないというデメリットもあるが、使いどころさえ間違わなければ強力な一手となる。
 戦車大隊は、それを間近で浴びるはめになった。樽に近い順に8両が爆散、17両が大破、横転。まだ10両が残っているが、モニターは焼けついて外を映さないし、レーダーも真っ白。その上、難を逃れたように見える10両の内、8両が機関不調に陥っていた。戦力として計算できるのは2両だが、慌てて真っ直ぐ下がったのが仇になり撃たれて終わった。

 最後の2両をプラズマライフルで潰した野良犬は機関不調になった8両に止めを刺すと、ジオン公国軍の待機している稜線を振り向いた。

「……とまあ、こんなものですね」

 渾身のドヤ顔だったが戦闘の影響で通信は繋がらなかった。仮に通信が繋がったところで、野良犬の側はコックピット内部の映像を相手に送る機能はないので、全く意味のないドヤ顔ではあったが。結局、野良犬はジオン公国軍が待機しているはずの稜線に向けて、樽を操作して手を振ってみた。

「終わったよー」

 くらいのつもりであったが、野良犬のゼスチュアがまずかったのか、受け取り手の解釈が違ったのか、真っ先に待機場所から飛び出してきたのは野良犬にとって予想外の人物であった。
 マ・クベでもなく、直衛の01や03でもなく、まさかの技術者である。元々は会談中に野良犬の機体のデータを集めるべくマ・クベが選抜した技術者達で、全員がジオニック社からの出向組だ。マ・クベが野良犬案件で怪しいツィマッドに隔意を抱いているわけではない。むしろ聞きたいことが山ほどあって連れてきたいのだが、マ・クベの手元にいないのだから仕方がない。ジオニック社の連中は単純にザクの整備や改修の為に技術者が来ていたので、その中から選んだだ
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