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人類種の天敵が一年戦争に介入しました
第12話
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のは先に挙げた通りである。
 カタログの目安としての数値ではなく実際の効果と言えば、先ほど撃破された61式戦車に残る破壊痕こそ特徴的だろう。プラズマの命中部分が綺麗にくりぬかれたようになっている。尋常ならざるエネルギー量にその部分だけ一瞬で融けて蒸発したのだ。まさに必殺。一発撃つのに多量のエネルギーが必要だが、そのエネルギーを直接叩きつけるプラズマライフルは凶悪なまでの破壊力を持つのだ。
 副次的なものだが、着弾時に電波妨害が発生するのもプラズマライフルの特長だろう。空気中に拡散して消えれば影響は小さいが、十分なエネルギーを残して着弾したプラズマは、そのエネルギーの全てを一瞬で解放する。無秩序に撒き散らされる電磁波が磁場をめちゃくちゃに引っ掻き回すのだ。プラズマの着弾点を中心に、狭い範囲で短い時間とはいえ、レーダーや無線も使えなくなる。それどころか十分なECM対策が取られていない電子機器は故障する可能性もある。プラズマの閃光で視界は白く染まり、レーダーも真っ白。無線も通じず仲間からの指示も聞こえないのはまだ良い方で、運が悪いと突然のシステムダウンに見舞われる。
 プラズマは射程距離が短い。近い距離で撃ち合う武装だ。つまり、言うまでもなく敵は近い。その近い距離で、突然数秒の空白を強要される。これをわずか数秒とは言えないだろう。致命的な隙となる。ECM対策が十分でなければ戦場で動けなくなる。こうなればもう隙も何もない。
 連邦軍もしっかりと隙を晒す羽目になった。61式戦車は運転手と砲手の二人乗り。これでは単体で周囲警戒できるはずもないが、本来の運用では味方とのデータリンクで相互にカバーし合う為に問題はないとされていた。だが、ジオン公国によって衛星は全滅しデータリンクは車載コンピューターによる最低限のもの。ミノフスキー粒子によって単体の索敵能力は更に制限され、そこに目眩ましを兼ねた電波妨害。これでは対応できる筈もない。たちまち一個中隊が消えた。

 残りの35両は樽を一度突き放すことに決めたようだった。一斉に急速後退しながら煙幕を散布。同時に幾つかの車両が閃光弾を発射することで、閃光弾によって煙のスクリーンに樽の影が浮かび上がる。煙で見えないのはお互い様、電子的に見えないのもお互い様だが、煙の中に浮かぶシルエットの違いは一目瞭然。樽と車両では間違えようもない。その影目掛けて1両につき砲がニ門、計70門が一斉に火を吹く。煙の壁を突き破り、樽を目掛けて砲弾が殺到する。
 連邦軍の戦術は決して悪い手ではない。瞬間移動のような回避の存在を連邦軍の戦車大隊は知らなかった――まだ昨日の生存者が回収されていないのだ――が、図らずも破壊された仲間の戦車が逃げ道を塞ぐ形で機動力を封じていた。
 普通なら必勝と言っても良い状況だが、それでも野良犬には通じなかった。その
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