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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第百十五話 かすかな警鐘が鳴り響いています。
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。」
「援助とは?」
「正確に言えば、私ではなく、ラインハルト・フォン・ローエングラム公に対して、です。」

 ドアがノックされた。

「よろしいですかな?」
「どうぞ。」

 アレーナに促されてメルカッツ提督が応じると、銀髪をショートカットにした帝国軍軍服を着た女性が入ってきて、メルカッツ、そしてアレーナに会釈した。青い瞳は静かな海を思い起こさせるほど穏やかである。

 彼女こそがメルカッツ直属艦隊の司令官である。

「提督、帝国軍最高司令官ローエングラム公より書状が届いております。軍務省、統帥作戦本部、宇宙艦隊司令長官の連署付きです。」

 ユリア・フォン・ファーレンハイト。アリシア・フォン・ファーレンハイトの「実姉」であり、転生者の一人であり、メルカッツ艦隊直属艦隊指揮を務めている。ファーレンハイトがカロリーネ皇女殿下と共に自由惑星同盟に出奔した後、アリシア共々苦難の日々を送ってきたが、女性士官学校を首席で卒業し、紆余曲折を経て、メルカッツ艦隊に配属となった。当初メルカッツ提督の事を「同盟に亡命したローエングラム陣営に仇成す者」とみて警戒していたが、彼の人柄を目の当たりにして、軍務に精励し、今ではメルカッツ提督の右腕としてなくてはならない人物になっている、というのがレイン・フェリルの報告だった。

「それの前にこれも併せてメルカッツ提督に提出していただけますか。」
「???」

 怪訝そうな顔をしてユリアが書状を受け取る。宛名と署名を見てあっと言いそうになったが、そのままメルカッツ提督に差し出した。眼を細めながら、眼を通し終わったメルカッツ提督に、

「まぁ、そういう事です。もちろんすべて了承済であり、私の一存ではない事を申し上げておきます。」
「しかしこれは・・・・まさかこのようなことが起こりうるなどと・・・・。」
「まぁ、信じてくださいといっても信じないでしょうから、代わりに私の事を信じてもらえませんか?ローエングラム公を信じられなくとも、私であれば信じられるはずです。そうでしょう?」

 ユリアがひそかにメルカッツ提督、そしてアレーナを交互に見る。両者はしばし互いの顔を見ていたが、先に根負けしたのはメルカッツ提督だった。

「承知いたしました。準備だけはしておきましょう。その旨お伝えください。」
「お手数をおかけします。」
「事はローエングラム陣営の問題だけではありませんからな。それに、あなたには随分と世話になったこともある。その時のあなたは損得を考えずに行動されていた。言葉は悪いが酔狂な心情でなければできぬこと。であれば、そのあなたの申し出を信じてみることもまた、一つの酔狂なのでしょうな。」

 メルカッツ提督はそう言った。



 アレーナはメルカッツ提督のもとを辞去する
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