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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第百十五話 かすかな警鐘が鳴り響いています。
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督は世間からは引っ込んでひっそりと自邸で過ごしている。一時期隠遁状態にあった老提督は新たな職責を帯びていた。
 上級大将の重職にあり、麾下3個正規艦隊3万8000余隻からなるヴァルハラ星域軍司令長官という職責を。
 この防衛機構の長を任されていながら、自邸で過ごす事ができたのは、ローエングラム陣営が積極攻勢を進めており、ヴァルハラ星域における会戦など起こりうるはずがなかったからだ。
麾下にはクルーゼンシュテルン、ホフマイスター両提督が配属されている。いずれも堅実な指揮官でありながら、ことホフマイスターについては猛将としての側面も持つ。攻守にバランスが取れた人選が配備されている。

 そして、メルカッツ艦隊直属の司令官には――。

 ブラウンシュヴァイク討伐の前後にはメルカッツ提督も麾下の艦隊を臨戦態勢にしていた時期があったが、それもほどなく解除され、今は平素の訓練が主な軍務となっている。それとても大半の職務は副官のシュナイダー大佐が上手く取り仕切っているので、問題なかった。
書斎で書見をしていたメルカッツ提督は突然の来客の姿に眼を細めた。

「これは、ランディール侯爵夫人、ご健勝で何よりですな。最後にお会いいたしましたのは、ブラウンシュヴァイク討伐戦勝記念の宴席で、でしたかな。」
「あなたはさっさとおかえりになりましたね、メルカッツ提督閣下。」

 老提督は苦笑交じりにアレーナに椅子をすすめた。

「あのような宴席は私には似合いませんでしてな。なるべく静かなところが好ましいのです。」
「ローエングラム陣営が少々浮かれ気味なことをそれとなく指摘していらっしゃいますか。」

 答える代わりにメルカッツ提督は席を立ち、手近のテーブルの上にあったティーセットから手ずからカップにお茶を注いで、アレーナに渡した。

「その若さで帝国宰相代理という御立場を担う貴女ですから、単刀直入に申し上げれば、ローエングラム陣営は若い力がみなぎっております。ですがそれは言い換えれば古きを軽視し、血気にはやる空気を醸成しがちになるという事ですな。」
「まぁ、かくいう私もその例外ではないと?」
「貴女は少し違うようですな。そしてヴァンクラフト元帥閣下もそのようです。しかしあの方もどこか頑なさを秘めておられるところがあります。」

アレーナはやれやれというように両手を広げた。

「あなたにかかってはローエングラム陣営も形無しね。そしてもっといただけないのは、あなたのご指摘がおおむね当たっているという点ですけれどね。」
「ほう?」

 メルカッツ提督は眼を細めた。このつかみどころのないランディール侯爵夫人がそう言うという事は何かあるという事だ。

「あまり時間がありませんから、単刀直入に申し上げます。あなたに助けていただきたいんです
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