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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第百十五話 かすかな警鐘が鳴り響いています。
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日々をあなたに取り戻すわ。」
「いいえ、あなたの気持ちは嬉しいけれど、それは受け取れないわ。」
「なぜ?」
アンネローゼは繊細な睫毛をイルーナからそらし、卓上の生け花に伏せた。
「弟が死ぬとしたら、それは弟自身の力量によってです。それは誰の責めに帰するものでもなく、弟自身によるものだということ。だから・・・あなたが弟の命に対してまで責任を負う事はないの。」
「キルヒアイスの事は?」
「・・・・・・・・・。」
「あなたはジークフリード・キルヒアイスの事を、愛しているのでしょう?」
「・・・・・・・・・。」
「私たちの役目は、二人を最後まで守り通すことなの。そのためにここまで来たのだから。」
「ヴァンクラフト侯爵夫人。いいえ、イルーナ。」
アンネローゼの瞳は悲しげに揺れ動いた。ヴァンクラフト家は叙爵されて侯爵になっていたのである。
「あなたは・・・・弟を、ラインハルトを愛しているのではなくて?」
「―――――!?」
思わず胸に手を当てたイルーナが後ずさりしたので、テーブルがガタッと音を立てた。内心ずっと意図していなかったものにいきなり手を触れられ、初めてその存在を知ったかのような衝撃を受けていた。アレーナがまだ到着しなくて本当によかったとイルーナは思った。
「まさか、そんな・・・・・。違うわ。私はラインハルトとキルヒアイスを弟とみているだけなのだから。」
「いきなりの言葉、許して下さいね。私は、私の生きてきた場所しか見ていません。ですから、曲がった見方かもしれませんが、人間は誰しもが何らかの利害がなくては、理由がなくては、動かないものです。理由もなしに、ただ正義聖典に従って動くなどという事はありえない事・・・・。」
「・・・・・・・・。」
「事実か否かは今はこれ以上聞きません。ですが、本当だとしたら、私はそれがむしろ嬉しいの。」
「えっ?」
「あなたは昔からどこか頑なでした。いつも何か使命を帯びて、それに縛られて生きてきているような、私よりもずっと年上のような、そんな不思議な感じを受けていたわ。不思議ね。あなたはまだ20代で私と同い年だというのに。」
アンネローゼには自分たちが転生者だという事は伏せている。この事実を知っているのはラインハルトとキルヒアイス、そして今は亡きベルンシュタインだけであった。
アンネローゼはイルーナの手を取った。それはひいやりとしてすべすべしていたが、同時に過去、そして今の苦悩といった感情が込められていた。それを受け取ったイルーナは内心戦慄を禁じ得なかった。
「帰ってきてください。そして、弟と結婚し、幸せになってください。それが私のあなたへの願いですわ。」
* * * * *
同時刻――。
ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ提
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