シルフィ
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最後は奥のテントの前で見張りをしていた兵士4人を斬り伏せて、戦いは終わった。
ふぅ……。
大きく息を吐く。
減らした兵士の数は知れているとはいえ、本陣をここまで荒らされたとなれば、ベスフル軍にそれなりに損害を与えたことにはなるだろう。計らずも魔王軍に貢献したこととなってしまった。
もう軍の勝敗など、私にはどうでもいいことのはずなのに……。
私は最後に4人もの兵士が守っていたテントが気になった。
入り口をかき分け、警戒しながら中を覗く。
そこにいたのは、槍を構えた1人の女性。
かつて生活を共にした人物。私と比べて2歳しか違わないのに、少女というには大人びた容姿をした彼女は──
「あなたは……シルフィ……」
侵入者に怯えるシルフィ・ディバードの姿がそこにあった。
彼女も騒ぎを聞きつけながら、逃げそびれた1人なのだろう。慣れない手つきで槍を構えながら、隠れて騒ぎが収まるのを祈っていたのかもしれない。
「あんた……チェント!?」
驚いた声。彼女の声を聴くのも、随分久しぶりだった。
「ヴィレントから聞いた。あんたが魔王軍に付いたって。自分が何をやっているかわかってるの?」
彼女は槍を構えたまま、強気に言った。
以前のようにまた説教でもする気だろうか? 自分の立場がまるで分っていないようだった。
「だから何? あなたには関係ない話だと思うけど?」
私は冷ややかにそう返した。
「関係あるわ。私はこの戦いが終わった後もヴィレントと共に生きていくの。これ以上、ヴィレントの邪魔をしないで!」
そうか。そういえば彼女は兄の恋人だった。ならば……
──彼女を殺せば、私の苦しみを兄に思い知らせることができるだろうか?──
「ねえ、シルフィ。さっきからあなたは随分攻撃的だけど、今の状況をわかってるのかな?」
私は赤い剣をちらつかせながら、彼女に笑いかけた。
「馬鹿にしないで! 私だってヴィレントにいつも稽古をつけてもらってるのよ。あんたなんかに……」
私は、彼女の構えた槍を一振りで叩き斬ると、右腕を軽く斬りつけた。
「……っ!?」
先端の無くなった槍を取り落とし、悲鳴を上げて右腕を抑える。
まだ腕を浅く斬られただけだというのに、大袈裟な人だと思った。
稽古……記憶をたどると、彼女は確かに兄に度々せがんでは、戦う稽古をつけてもらっていたことを思い出した。
ただし、それは戦闘訓練というにはあまりにもお粗末なものだったと記憶している。
デタラメに木の棒を振り回す彼女を、兄が適当にいなすだけ。兄の方にも真剣さは見られない。2人でただじゃれ合っているようにしか見えなかった。
私に力と自信をくれたネモのそれとは、まるで違った。
「弱いね、シルフィ。あなたはそうやって何もしないで、ず
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