シルフィ
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しまった。
騒ぎを聞きつけて、奥から人が顔を出し始める。
失敗した。肌の色まで徹底して隠すべきだった。だが、元々衝動的に飛び出してきた上での行動だったのだ。こうなるのは必然だったのかもしれない。
すぐに姿を見せたのは、救護や炊事を行う女性達、非戦闘員だった。
彼女達は私と倒れた兵士を見比べると、悲鳴を上げて逃げ出した。
即座に走り寄り、背中を斬りつける。黙らせたのは3人。だが、もう遅かった。
悲鳴を聞きつけて、さらにぞろぞろと人が現れる。
立ち向かうか逃げるか、決断するのは今だった。もたもたしていると、逃げるチャンスを完全に失う。
だがおかしい。次々と姿を現す殆どは、先ほど見たような非戦闘員ばかりで、兵士達の数は圧倒的に少なかった。
兵士達は槍や剣を構え、私を取り囲もうとする。
私はそれをさせる前に動いた。魔力剣でいつものように相手の槍を無力化し、2人、3人と斬り裂いていく。
もうかなりの騒ぎになっているはずなのに、兵士は大した数まで増えていなかった。
まだ多くが寝静まったまま、とは考え辛い。敵襲となれば、慌てて皆を起こして回るだろう。
多くの兵士が出払っていると判断して間違いない。早朝から砦を奇襲するつもりなのかもしれない。
剣を持った兵士の手首を斬り飛ばし、悲鳴を上げたところを斬り捨てる。
兵士の数は、見える範囲で精々数十人。しかも、まともに隊列が組めていない。
私1人でも、充分勝ち目のある戦いに思えた。
当然、兄も姿を見せていなかった。おかげで命拾いしたといっていい。
兄を殺しに来たはずなのに、兄がいないことで命を拾った。
自暴自棄になって出てきたはずなのに、生き延びたことにほっとしている自分がいた。
どれだけ心が壊れようと、戦うことで冷静さを取り戻す。私はそういう人間になってしまったのだろうか?
戦っている間にも、次々と非戦闘員達が陣から逃げ去っていく。それは別にいい。彼女達に用はない。
さらに1人斬り裂いた際に、勢い余って近くのテントが裂ける。
テントの中には逃げそびれた女性が2人、震えて抱き合っていた。
直後に後ろから兵士が2人、同時に斬りかかってくる。
かわして腰を斬り抜ける。呻き声を上げて、あっさり倒れ伏す兵士。その間に女
性2人は、這うようにして逃げ出した。
非戦闘員に構うことはない。向かってくる兵士だけを片っ端から相手する。
やがて、兵士達の中にも逃げ出すものが出始めた。
こうなるともう立て直せはしない。
本来の兵の数と陣の広さを考えれば、もう少し人数を残してもおかしくなさそうなものだが、それすらも惜しむほどの状況なのかもしれない。
流石に逃げ出す兵までも、全ては倒せない。
残っている敵兵は確実に数を減らしてゆき、
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