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人類種の天敵が一年戦争に介入しました
第13話
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岩とはいかないのだ。生きていれば聞くこともできたのだが……」

 企業管下の傭兵機構カラードから革命勢力ORCA旅団へ、そして最後の最後にはORCA旅団すらも飛び出した野良犬にとっては、組織が一枚岩ではないということは身をもって理解している。跳ねっ返りがいることも、よく知っている。獅子身中の虫という奴がいることも。中将、総司令官という立場から、部下の中身は玉石混淆、派閥が入り乱れ、全員を裏の裏まで把握できないことも、想像がつく。
 だが、野良犬はマ・クベに同情しない。マ・クベの言うことが正しい保証もないのだ。殺そうとして失敗し、自分は知らない、部下が勝手にやったことだというのは古今東西ありふれて使い古された言い訳だろう。

 マ・クベにとって不幸だったのは、本当に01の単独犯だったことだろう。01にとっても不幸だったのは、本当に01にとっても『不慮の事故』だったということだろう。
 現地の武装勢力と思って内心では見下していたら、意外なほど、不審なほどに進んだ技術を持っていた。
 その戦闘能力も驚くべきもので、リリアナがジオン公国軍のコントロール下にない今、警戒するのも当然と言える。普通の軍人であれば、キシリアが最初に話を付けてしまった為に毒を食らわば皿までという状況に追い込まれたマ・クベのようには受け入れることができないのだ。
 更には技術者達の一斉死。野良犬の持つ害意が連邦軍以外に向けられたのは明らか――少なくとも01にとっては――だった。
 野良犬に対する不信感、警戒感、危機感が限界まで高まった01の背を押したのは、他ならぬ野良犬自身だった。野良犬は技術者達を押し留めようと、機体の手を突き出した。技術者達もマ・クベ達と一緒に待機していたため、技術者達に向けられた手は、待機場所から姿を表したマ・クベ達にも向けられていた。まっすぐ手が向けられていれば、腕もまた。しかし、手は非武装だが腕はそうではない。
 01から見た視界はこうだ。もうもうと上がる黒煙、破壊された戦車、煌めく緑色の粒子。周囲に倒れている自軍の技術者と、それらの中心で連邦軍を焼き尽くした謎のビーム砲を『こちらに向けている』怪しい危険な機体。
 護衛の責任者として、先制攻撃はむしろ当然であった。考えるよりも速くマシンガンを構え、撃ち、01はこの世から消えた。

 つまり、だいたい野良犬のせいだったのだ。

 我が道を往く野良犬の不遜さがマ・クベに対する敬意を欠いたように見えていた。野良犬が実力を見せて値段を吊り上げようとしたのは逆に脅威度を吊り上げた。通信が回復しなかったので手を突き出して止まれを表そうとしたが、それはプラズマライフルを突き付ける形となった。

 だから、だいたい野良犬のせいだったのだ。

 悲劇的なところは野良犬が01を瞬殺したために01の内
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