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人類種の天敵が一年戦争に介入しました
第13話
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空間を引き裂いた時には、01の乗るザクUC型の胴体が白い光に包まれる。胴体正面を大きく抉られ、01が乗っていたザクUC型はマシンガンを撃ちながらゆっくりと前に傾いていく。
 乗っていた、と過去形なのは、既に01は乗っていないからだ。野良犬の超反応に対応して01が超速度で脱出したわけではない。01はスモウレスラーに撃たれた直後、コックピットにまで到達したプラズマによって蒸発していたのだった。一瞬の出来事であるから、痛みも熱も感じることはなかっただろう。
 元冷却水や元装甲板や元01だった蒸気や塵を噴き出しながらザクが傾くが、機体が地面に倒れ込むその前に、03と02が武器を構えるその前に、スモウレスラーがマ・クベの乗るザクTにプラズマライフルを突き付けた。

「どういうつもりだ?」

 どういうつもりも何も、同じことを言いたいのはマ・クベの方だった。01に攻撃命令を出した覚えはない。
 確かに、この場で野良犬を始末する可能性はあった。コーカサス地方制圧組から護衛を選抜した理由の一つだ。野良犬の爪痕を知っている、腰の引けた黒海制圧組では、急に野良犬を殺れと言われても即座に実行できるか怪しいだろう。一瞬の躊躇で失敗すれば、こちらも大怪我をすることになる。野良犬を知らないコーカサス地方制圧組なら、迷いも怯えもない。
 知識は力だ。しかし、知っているからこそ出来ないこともあれば、知らないからこそ出来ることもある。地雷源でタップダンスを踊ることができるのは、地雷源だと知らない人間か酔っ払いだけだ。
 マ・クベの手駒に酔っ払いはいないので、知らない人間を引っ張ってきたのだが、野良犬の乗機を確認した時点で現時点での暗殺計画は破棄された。別に幕僚達に諮ったわけではなく、マ・クベが内心でそう決めただけだ。なぜなら、暗殺計画の存在を知っているのはマ・クベだけだからだ。誰にも、キシリアにすら相談していないことなのだ。マ・クベの腹の中だけにあり、そのまま抱えている秘密だ。余人に漏らす筈がない。01に指示を出してもいない。ではなぜ01は勝手に動いたのか――

「済まない。詫びて済む話ではないのだが、どうやらモグラがいたようだ」

「モグラ?」

 モグラ。諜報員や工作員の隠喩だ。マ・クベの指示に従わない部下。勝手に動き、マ・クベを危機に陥れる部下。不出来な部下で済ますほどマ・クベは間抜けではないし、軍内政治にどっぷりと頭の先まで浸かっているマ・クベなのだ。自分以外の命令で動く部下には自分以外に飼い主がいると考えるのは自然の成り行きだ。政治色の無い人員を選抜したつもりだったが、経歴を洗うのが甘かったらしい……と反省するのは後で良い。今は、プラズマライフルをこちらに向けた狂犬を宥めなくてはならなかった。

「連邦ではなく、対立派閥の手の者だと思う。我々も一枚
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