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ソードアート・オンライン〜Another story〜
マザーズ・ロザリオ編
第265話 詩乃とチョコレート
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は萎んでいく。
そして、柔らかいいつもの優しい隼人の顔に戻った。
「ありがとう。嬉しいよ」
その一言だけでも、作った甲斐があると言うものだった。
真の想いは、届かないかもしれない。独り占めをしたいって気持ちだってまだまだ心の何処かには確かに存在している。
それでも、今のこの関係も本当に好き。大切な友達がたくさん出来て、こうやって馬鹿やって笑いあう事だって、かつての自分なら考えられなかったから。
「……こちらこそ、毎日をありがとう」
「んん。何だか大袈裟だぞ、それ」
「ふふ。これが 嘘偽りない気持ちってヤツよ。色々なハプニングがあって 大変だったかもだけど、今日もきっと良い思い出になるって思ってる」
「………轢かれそうになったり、その……、オレに、さわ、触られた、事が、か? 出来れば、忘れてくれた方が嬉しい……んだが」
「ふふふ」
詩乃は意味深に笑った。
ただ、思うのは 以前での事。そう、あの厄介な女神が現れ、そして とあるクエストを受けた時の事。
決して、口には出さない。誰にも話さない。それは 一時の淡い夢の様なもの。だけど、確かに自分と触れ合った。
――隼人は知らないんだよね。私は 今日の隼人よりも、もっと凄い事を……貴方としたのよ?
「詩乃。頼むよ……」
「ふふ。了解。もしもの時の切り札が増えたかしら?」
「……あまり苛めないでくれ」
そして、場面は元に戻り 詩乃のアパート。
思い出しただけで、隼人でなくても恥ずかしい。あの時はよく実行出来たものだと、自分のことながら信じられなかったかもしれない。あの女神のクエストの時の勇気に似たなにかがまた自分の中で芽生えて……、色んな意味で強くなれたのかもしれない。
触られたのが隼人で良かった―――とも何処か考えてしまう自分がいた。
「……リュウキは、私のでも良い……って考えても良いのかな」
詩乃は、自身の胸部を見下ろしつつ、ベッドに寝転がる。
もう、これ以上考えると頭がどうかしてしまいそうだから、思い切り左右にぶんぶんと頭を振って考えを、邪念を退散させる。
今日は、確かALO内ででもバレンタインにちなんだイベントが確か開催される筈だと思いだし、半ば慌ててアミュスフィアを手に取って ALOの世界へ。
―――朝田詩乃から、シノンへ。
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