第十五話 宝探し
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ビオンで手に入れたと説明した。
「なんだかそれ、神の拳と似てる気がするわね。」
「神の拳って、宝物庫に納められていたものだろう? なんでそれを君が持っているんだい?」
「フォオン。」
オスマンからもらったと説明した。
「なんだとぉ! 宝物庫の宝を! 君は一体何者なんだね、本当に!」
「まあ別にいいじゃない。ダーリンが何者でも。」
キュルケはそう言ってギーシュを宥めた。
「みなさーん。ご飯できましたよー。」
すると、シエスタが食事ができたことを伝えに来た。
鍋の中に、ぐつぐつと色んな具材が入ったシチューが入っていた。
「どうぞ、ヨシェナヴェです。」
「うまい! これは何の肉何だい?」
「オーク鬼の肉です。」
ギーシュがブーッと噴き出した。
「う、嘘です。ウサギです。」
「驚かさないでよね。それにしても森にある物でこんな美味しい物を作るなんてすごいじゃない。」
「田舎育ちですから。」
シエスタははにかんだ。
「しかし、これで七件目だぞ。」
ギーシュがジト目でキュルケを見た。
そうここまで収穫はゼロ。
今までの地図は全部偽物だったのだ。もしくはお宝とは名ばかりで、安物しかなかった。
「あと一件! あと一件だけ!」
キュルケが最後の地図を出した。
「これよ、これがダメだったら学院に帰りましょう。」
「そのお宝って?」
「神の矢。」
「えっ?」
シエスタが声を漏らした。
「それ…、私の村にあります。」
「なんですって?」
「はい…。」
「あなたの村ってどこ?」
「ラ・ローシェルの向こうが側です。」
神の矢と聞いて、アルマロスは、まさか…っと思った。
残る神の叡智の武器は、ガーレだけだ。
ガーレは、遠距離武器である。形状は弓矢とは程遠いが、もしかしたら他に例えられる言葉がなかったので、神の拳と例えられていたベイルのようにそう呼ばれているのかもしれない。
その時、ふとアルマロスは、足を止めた。
「ダーリン? えっ?」
「なっ…。」
「っ…。」
キュルケもギーシュもタバサも驚いた。
空から雪が降ってきたのだ。
ちさちらと少ない量だが、確かに雪だった。
それとともに冷たい風が吹いた。
「うわ、さむっ!」
「…嫌な風…。」
初夏の季節に似つかわしくない冷たい風に、体を抱いて震える。タバサは、風から嫌なものを感じ取り眉を寄せた。
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