第十五話 宝探し
[1/4]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
アルビオンから帰って、十日以上が経過した。
日が経つにつれ、あの日、あの場所であったことは、現実味を失っていく。
けれど現実は現実。あの日、ワルドに裏切られ、ウェールズを目の前で殺され、アルマロスが怒り狂った。その事実は変わらない。
ルイズは、アウストリの広場のベンチに腰かけ、編み物をしていた。
アルマロスは、少し離れた位置の樹の木陰に座っている。
ルイズは、編み物の合間に、始祖の祈祷書を開いたりして、時折溜息を吐いていた。
思いつかない。全然、良い詔が思いつかない。
まさか同盟の婚姻時の巫女に選ばれるなんて、そんな夢のまた夢みたいな大役を仰せつかるなんて思わなかった。
そんな一生に一度とないことを急にやれと言われて、できるものじゃない。だがやらなければならない。
ふとアルマロスの方を見ると、ウトウトと木陰に座ったまま居眠りをし始めていた。
「……のどかねぇ…。」
のんびりとした昼休み。確かにお昼寝には絶好の気温と天気である。
ウトウトと寝かけているアルマロスを見ていると、こっちまで眠くなってきて、ルイズはあくびをした。
このままアルマロスに寄りかかって寝ちゃおうかなんて考えも過るが、昼休みが終わればまた授業があるのでやめた。
「何してるの?」
後ろから急に声を掛けられて、ビクッとなったルイズは慌てて振り返ると、そこにはキュルケがいた。
ルイズは、慌てて作っていた作品を始祖の祈祷書で隠した。
「なによ、隠さなくたっていいじゃない。」
「べ、別にいいじゃない。」
「あらあら、ダーリンってばお昼寝? 私も一緒に寝ちゃおうかしら?」
「ダメ! ダメよ! ダメだったらダメ!」
「しーっ。ダーリンが起きちゃうでしょ?」
小声でキュルケに言われ、ルイズは、口をつぐんだ。
「なにその本。白紙じゃない。」
「これは、始祖の祈祷の書よ。国宝よ。」
「なんでそんな国宝を持ってるわけ?」
ルイズはキュルケになぜ自分が始祖の祈?書を持っているのか説明した。
「なるほど、じゃあこの間の旅は、ゲルマニアとの同盟が絡んでたわけね。」
キュルケの言葉に、ルイズは、少し考えて頷いた。
「誰にも言っちゃダメよ。」
「ギーシュのようにお喋りじゃないわよ。ところで、同盟国同士になったんだし、あたしたちも仲良くしようじゃないの。」
「だからってアルマロスは、あげないわよ?」
「…ちぇ…。」
「こら。」
「冗談よ。ねえ聞いた。アルビオンの新政府は、不可侵条約を持ちかけて来たそうよ。あたしたちがもたらした平和に乾杯。」
キュルケがルイズの肩に手を回して微笑んだ。
ルイズは、アンリエッタのことを想うと、あまり明るい気分にはな
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ