第六章
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「そのつもりで家事勉強して部活もしてるから」
「料理部でか」
「そうしていってるんだな」
「家じゃ家事も頑張ってか」
「高校にも入って」
「卒業したらか」
「先生にプロポーズするんだな」
男子生徒達も小学校の時は囃し立てることはしなかった、奈津美の両親と同じ様にまさかと思いながらもだ。
彼女が本当に水本と結婚するのかと思う様になっていた、それで彼等だけになった時にこう話をした。
「ひょっとしたらな」
「ああ、あいつな」
「先生と結婚するかもな」
「信じられないけれどな」
「小学校ずっとああだったしな」
「今もだからな」
「それじゃあな」
高校を卒業したらというのだ。
「その時はな」
「あいつ結婚するんだな」
「ひょっとしたら」
「その時は」
彼等もまさかと思いながらも奈津美が水本と結婚するのではと思う様になっていた。そしてだった。
奈津美は高校に入りその間も水本と定期的に会っていた、この頃にはもう彼女が水本と結婚することを誰もが現実のものとして考える様になっていた。
そしてだ、高校を卒業した時にだった。
遂にだ、奈津美は。
卒業式が終わるとその足で彼女が通っていた幼稚園まで行った、そのうえで水本に対して頭を下げて言った。
「これから宜しくお願いします」
「僕の方こそ」
これが水本の返事だった。
「じゃあ今からね」
「はい、お父さんとお母さんのところに行って」
「挨拶をしようね」
「わかりました」
二人で笑顔で話した、こうしてだった。
奈津美は遂に水本と結婚することになった、もう立派に大人の美しさを備える様になっていた娘とまだ若さが残っている彼を見てだった。
両親も奈津美を囃し立てていた男子生徒達も唸って言った。
「まさかな」
「本当に結婚するなんてね」
「思わなかったな」
「そうよね」
男子生徒達はむしろ両親以上に驚いていた。
「嘘じゃないよな」
「ガキの頃に言ってたことがな」
「現実になるなんてな」
「あいつ結婚するのかよ」
「幼稚園の時の先生と」
「マジで」
信じられないという顔だった、だがそれでも。
二人の知人達は結婚式に呼ばれた時は笑顔でだった、ウェディングドレス姿の奈津美と白いタキシード姿の水本を祝福して声をかけた。
「幸せにな!」
「これからは二人で楽しくな!」
皆奈津美を祝福していた。子供の頃から想いを変えずそれを適えた彼女を。
そうして奈津美は水本の妻となってだった。
二人で幸せな家庭を築き娘が結婚する時にこの時を話すと娘は祖母に驚きを以て言った。
「そんな経緯があったのね」
「そうよ、貴女が産まれる前にね」
「お母さんずっとお父さん好きだったのね」
「今もね」
「お父さん何も言わないけれど」
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