十六 蹉跌をきたす
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れに…私はこんなところで立ち止まってられないんです」
チヨに背中を向けながら、いのは強い口調できっぱりと宣言した。
「私の親友…その子の眼を覚まさせるまでは」
大蛇丸の許へ、サスケと共に行ってしまった春野サクラ。
彼女を一発殴って眼を覚まさせるまでは、死ねない。死なない。
ナルと一緒に、サスケとサクラを取り戻すまでは、いのはこんなところで足踏みするわけにはいかなかった。
前に進まなければならない。
「大丈夫。私に考えがあります」
毒で全身が痺れ、今にも意識を失いそうになる。だが、あれは最終手段だ。それまではなにがなんでも、使うわけにはいかない。
毒による激痛を押し殺し、いのは肩越しに振り返った。毒で青褪めながらも、微笑んでみせる。
「だから、私の身体……頼みますね、チヨ婆様」
毒で痺れる身、自分では動けなくともチヨのサポートがあれば動けるだろう。それに、生身の人間ならば砂鉄で動きを封じることはできない。
更に、砂鉄の脅威があるとは言え、まだ【父】と【母】の傀儡人形は壊されずに済んでいる。
いののキッパリとした宣言に、チヨは眼を細める。
彼女の師である、五代目火影────綱手の背中が被さって見えた。
話し合いが終わったらしいくノ一を真顔で見ていたサソリは、呆れたように肩を竦める。
砂鉄でまもなく動けなくなる傀儡人形二体に加え、生身の人間を傀儡として操る算段らしいと彼は察していた。
いのにチャクラ糸をつけたチヨを、サソリは「おいおい…なかなかの冷血婆じゃねぇか」と野次る。
「毒で動けねえ小娘を無理に動かすってのか?ふ、まぁ俺の毒を受けたのなら、死んだも同然だがな」
人体にチャクラ糸を繋げて傀儡人形のように操る【操演・人身冴功】。
術の由来は、戦場で傀儡を失った傀儡師が屍を傀儡人形として操った事によるものだ。
その事も含めて、サソリは愉快げに唇を歪めた。
「天下の傀儡師も落ちぶれたものだ…死にかけの小娘と傀儡二体で何ができる?」
直後、真顔になる。
「────俺を舐めるのもいい加減にしろよ」
サソリがそう言うや否や、地面に打ち込まれた砂鉄が針のような形状へと変化する。
瞬間、足場である地面から一斉に砂鉄の針がチヨといのに向かって襲い掛かった。
(下から…ッ!!??)
鋭い針が飛び交う空中。
咄嗟に跳躍したチヨは、浮遊しながら指を動かす。
いのと【父】と【母】。
三体を同時に操るチヨの動きを、サソリは注視する。
今や、この中で戦闘要員はチヨのみ。傀儡師であるチヨを叩けば、傀儡二体は動かなくなる。
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