IFのIFのIF 悪食の人魚
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「はっ?」
そして、グイッととてつもない力で引っ張られ、釣り人は、船の上から海に落とされた。
慌てて水面に顔を出して呼吸する、キョロキョロと周りを見ると、人魚がニコニコと笑っていた。
「こ、この野郎!」
はめられたっと理解した釣り人は、人魚の顔に向かって手を振り上げた。
すると人魚は、ヒョイッと避け、そのまま海の潜り、尾ビレを出してバシャンッと水しぶきを上げた。
もろに水しぶきを受け、視界を奪われた釣り人の下に、人魚が行った。
そしてその足を掴む。
釣り人はすぐに気がつくが、海は人魚の独壇場。陸上に生きる人間が勝てるはずが無いのだ。
そのまま一気に海中に引っ張り込まれる。
釣り人は、逃げようと暴れる。
どんどん海面は遠ざかっていき、息も続かない。
暴れる力がなくなってきた時、足に激痛が走った。
見ると、人魚が半パンでむき出しになっていた釣り人の足に噛みついていた。
噛みつかれた箇所から、血があふれ、青い海に血が広がる。
釣り人は、理解した。
なぜ、この辺りの海岸で遊泳者が行方不明になっていたのか。
こいつ(人魚)が、遊泳者を食っていたからだ。
酸素不足で鈍る思考の中、釣り人は、そう確信しながら人魚に食われた。
***
「あら、ライオス兄さん。今日は珍しく人間が採れたのね。」
人魚と同じ色の髪と眼を持つ女性が、波打ち際の洞窟の岩場に座っていた。
ライオス兄さんと呼ばれた人魚が、自慢げに食べた釣り人の首を両手で持って女性に見せた。
「この辺も人が入らなくなっちゃったから、若い人間が採れなくなったね。別の場所に行く?」
すると、ライオスは首を横に振った。
「……そうね。ここは、迷宮に近いもの。人が居なくなったから静かに暮らすにはちょうど良いわ。」
女性は、クスクスと笑う。
「私と兄さん……。二人だけで十分だもの。」
そう言いながら、女性は、ライオスの頬を撫でた。
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