IFのIF あなたと一緒にいられるなら
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カブルーは、表情のない目が向けられたけれど、嬉しそうに笑った。ついその勢いで、目の前の羽毛に頬を乗せていた。
「……。」
「うわっ。」
すると、バサッと煩わしそうにカブルーが触れていた片羽が上がった。
その勢いでカブルーは、後ろにふらつき、そのまま尻餅をついた。
そして、ズシッとカブルーの足の間に、竜の足が踏み込まれた。
上を見上げると、ライオス・ドラゴンキメラの顔が自分を見おろしていた。
口と首元の羽毛を血で赤く染めていて、それに金色の目が……。
「綺麗だなぁ……。」
なんて思ったことをつい口にしていた。
そのまま、静かな時間が流れる。
どうやら自分を殺す気は無いらしいが、先ほど触られたのが煩わしかったらしい。初めて遭遇したときの凶暴性が嘘のようだ。もしかしたそこまで好戦的な魔物じゃないのかもしれないなんて希望が湧いてくる。
さて、どうしたものかとカブルーは、考えた。このままでは、いずれ自分が帰ってこないことを気にして仲間が来るだろう。その前に事を終わらせたい。
しかし、今の彼に想いを伝えたとて、無意味だろう。
だが何かしら痕跡は残したい。
ふと、ライオス・ドラゴンキメラの手にある魔物の死体に目が行った。
そうだ、思いついた。彼との確かな証を残す方法を。
カブルーは、腰からナイフを取り出すと、腕をまくって切りつけた。
血があふれ出る。
ライオス・ドラゴンキメラがそれを見て顔を僅かにしかめた。
それがまるで、どういうつもりだ?と問いかけているように見えた。
カブルーは、血が流れ落ちる腕を、ライオス・ドラゴンキメラに差し出した。
「食べてください。」
ライオス・ドラゴンキメラは、血が滴るカブルーの腕を見つめた。
やがて、ライオス・ドラゴンキメラは、手にしていた魔物の死体を捨て、巨体を下にかがませて、カブルーの腕を掴んで引き寄せた。
そして、まだ鮮血が残る口を開いて、腕の傷口に噛みついた。
「っ……。」
ブチブチと皮膚と筋が噛みきられていく。その痛みは相当なものだ。
やがて、噛みちぎられた。
ライオス・ドラゴンキメラは、カブルーの肉を噛みしめる。その光景を、カブルーは、恍惚とした顔で見ていた。
そしてよく咀嚼した後、飲み込んだ。
肉を失ったことで血が余計にあふれ出て、それを彼は、舌で舐め取る。唇が、舌が、新しい自分の血で汚れていく光景を見ている、それだけでゾクゾクとした。興奮で。
そんな性癖はないはずだが、彼にならそれでもいいかもなんて思えてきた。
「カブルー!」
カブルーが浸っていた時、仲間の声が聞こえた。
その声でハッとしたのか、ライオス・ドラゴンキメラは
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